もう半年過ぎたのか(城表)
闇表前提で城→表
一緒に帰ろうと呼びに行った屋上で、遊戯はぼんやりと空を見上げていた。
こういう時、声をかけていいものかほんの少し迷う。
遊戯が何を、いや、誰のことを考えているのかわかってしまうからだ。
呼びかけを躊躇した城之内に遊戯の方が気が付いた。
「城之内くん補習終わったの」
城之内は苦笑してみせた。
「なんとかな」
「よかったね」
今回は補習を免れた遊戯がそう言って笑った。
「此れ出ねえとマジで卒業させてもらえないからなぁ」
「そっかー・・もう卒業なんだよねぇ」
何処か他人事のような口調で遊戯が言う。
此処の処、『卒業』という単語に過剰に反応するようになっている。
何か卒業後の進路のことで悩んでいるのかもしれない。
「時間経つのって早いねぇ」
しみじみと言う遊戯の横に並んで、同じように空を見上げながら城之内は頷いた。
「ホントにな」
もう、半年過ぎたのだ。
<遊戯>が居なくなって。
二人でしばらく空を見上げていた。
答えはわかっていたけれど、どうしても聞いてみたくなって城之内は訊ねる。
「<遊戯>のこと、考えてたのか」
「うん」
遊戯は素直に頷いた。
「もう一人のボクが居なくなって、すごく寂しいのに、でも普通に生活出来ちゃうもんなんだなぁって考えてた」
「そりゃそうだろ」
城之内の言葉に遊戯は少し驚いたようだった。
ゆっくり城之内は続ける。
「今、此処に<遊戯>居ないのはそりゃオレだって寂しいけどよ。でも別に此れっきりってわけじゃないし」
「次、会う時も胸張って会いたいじゃねえかよ」
城之内にとって<遊戯>はいつか超えたい壁だった。
決闘者としても、それ以外でも。
「城之内くんは、」
遊戯は言った。
「また、会えると、思っているの」
其れは、問いと言うよりも確認だった。
誰かに、そう言って欲しかった。
そんな言葉に聞こえる。
城之内は大きく頷いた。
「当り前だろ。オレたち、仲間なんだから」
誰よりも固い友情で結ばれているのだから。
そうそう切れたりはしない固い絆で。
見えるけど、見えないもの。
其れは簡単なようで難しい謎掛け。
それは友情であるというのが城之内の出した答えだ。
その答えをくれたのは<遊戯>ではないけれど。
「そっか、そうだよね!」
遊戯は晴れやかに笑った。
「ありがと、城之内くん!」
何か吹っ切れたようだ。
進路のことも何か自分で決めたのだろう。
決めたら、迷わない。
其れが遊戯だ。
「礼なんか要らねえよ。オレたち、ダチだろが」
そう言うと遊戯は眩しいほどの笑顔を見せた。
END
城→表
GXでは世界を旅して歩いてるらしかった遊戯ちゃん、
それが何時か何処かで闇様にまた会うためだったらいいな、と思って。
そんでその決断をするのを城之内くんが
背中押してくれたんだったらいいな、と思って。
闇様が還ったのって高2の春、と思いこんでるんですけど
違うかしんない(^^ゞ
2009.09.27
■十二ヶ月を巡るお題■
宿花(閉鎖されました)