白い闇が怖い遊戯ちゃん。
海馬くんは、白が似あうと思う。
「海馬くん?」
ノックしても返事が無い。
ほんの少しドアを開けて覗き込んだら、部屋の主はイスに座ったままうたた寝をしていた。
白いシャツを着て。
白いカーテンが風に揺れている。
海馬くんは、白が似あう。
だけど。
ボクはそれが、嫌で。
バタバタと大きな音を立てて海馬くんに近づいてそのままギュって力任せに抱きついた。
「何だ、どうした?」
ボクの足音で目を覚ました海馬くんが少し焦ったように訊いたけど返事が出来ない。
海馬くんは、白が似あう。
だけど。
白を着て寝たらダメだ。
病院を、思い出すから。
白い部屋で
白いシャツを着て
白いシーツの上で。
白い、闇の中で
ただ息をしてるだけのキミ。
ガラス玉にはボクなんか映っていなかった。
ただがむしゃらにしがみ付くボクをあやすように海馬くんが言った。
「どうした?」
覗き込むその蒼い瞳にボクが映っているのを見てようやく安心する。
「寝ちゃ嫌だ」
ボクの理不尽な物言いに海馬くんはちょっと笑った。
ボクを見て。
ボクを抱きしめて。
どこにも行かないで。
その蒼い目に、いつでもボクを映していて。
海馬くんは、白が似あうと思う。
でも彼からイメージする色は白でなく、蒼。
ボクを映す、その瞳の色。
END
ウチの海表にしてはちょっと毛色が違うかな
2002.10.02