海馬家のねこのお話。短いです。
遊戯が拾ってきたネコを飼うハメになってもうずいぶん経つ。
最初はもちろん飼ってやるつもりなどなかった。
動物の世話などとんでもない。
だが遊戯ももう心得たものでまずモクバを味方に引き入れてからオレに話を持ってきたのだ。
遊戯とモクバの「お願いコンボ攻撃」の前ではオレも折れるしかない。
「仕事の邪魔はさせない」
とりあえずこれだけは約束させたのだが、当のネコ達はそんな事などどこ吹く風だった。
人間の言葉などわからないからこちらの契約など知ったことではない、と言ったところか。
2匹で初日からバタバタと走り回りオレを閉口させた。
昼間は日当たりのいいところに陣取ってくーすか寝ているくせに夜中になると2匹で追いかけっこはするわ、ゴミは散らかすわ。
寒ければ人のベッドを占領して寝ているし、追い出せば人の上に丸くなる。
好き放題だ。
そうしてかまって欲しい時にだけ、人の前に来て可愛らしい声で鳴くのだ。
窓の外でにゃーにゃーと大合唱していてうるさいことこの上ない。
仕方ないので開けてやると庭から2匹で何やら引きずってきた。
鯉だ。
庭の池で飼っている錦鯉。
まだ小ぶりのものだがそれなりに値の張るものだ。
どうやって捕ったのやら。
オレは興味がないから構わないが可愛がっていた執事は嘆くだろう。
ネコ共は執事の嘆きなどもちろんどうでもいいらしく「誉めて誉めて」とやかましく鳴いた。
ネコというのは捕った獲物を見せに来る習性があるらしい。
「ああ、よしよし」
適当に誉めて撫でてやると2匹は満足そうにノドを鳴らした。
久しぶりに登校すると遊戯がオレを見つけて駆け寄ってきた。
「おはよう、海馬くん」
「今日は1日居られるの?」
「お昼一緒に食べようよ」
返事をしながらふと思う。
何かに似ている。
・・・・ネコだ。
かまって欲しい時に可愛い声で鳴くネコ。
そう思ったら可笑しくなった。
ネコはそんなオレを不思議そうに見ている。
小首を傾げて。
「子供扱いしないでよー」
頭を撫でてやったら不満そうに口を尖らせた。
そんな仕草も可愛い、と思う。
ネコも悪くない。
END
遊戯ちゃんが拾ってきた2匹のネコを
社長のウチで飼ってる・・という設定。
2003.01.10