■体育なんて嫌い(海表)■

■十二ヶ月を巡るお題■
体育なんて嫌い(海表)

 














 

 

「兄サマ、今日遊戯が来たよ」
帰宅した海馬にモクバが言った。
海馬は携帯を取り出して充電器に立てる。
仕事の話をしているときに突然電池切れではしゃれにならない。
「いつもの学校のプリント」
モクバは机の上においてあった紙をひらひらと振って見せた。
「そうか」
受け取って目を通す。
海馬にとってその紙切れに書かれた内容はさして意味を持たないが、この紙が学校―――遊戯の日常と繋がっているのだ。
其処には、意味があった。
「体育祭、か」
「うん。一応不参加でも大丈夫なアタリに兄サマの名前は入ってるけど、『海馬くんは体育祭来れるかなぁ?』って言ってたぜィ」
モクバは遊戯の口ぶりを真似て言った。
モクバとお茶でもしていったのだろう。
その時の遊戯の様子が目に浮かぶようだ。
「遊戯は何に出るんだ」
「玉入れと騎馬戦だって」
騎馬戦に出るということは確実に上に乗る役だろう。
下の馬役からしたら小柄な遊戯は軽いから負担も少なく楽だろうが。
はたして遊戯に他人のハチマキを奪い取るなどという真似が出来るのだろうか。
どうみても運動が得意そうには見えないし、攻撃的に前に出るタイプでもない。

それとも、そう思っているのは自分だけで実際は違うのだろうか。

海馬は遊戯の体育の様子がどんな風か見たことがない。
滅多に学校に行かないのだから、当然といえば当然だ。


「『体育苦手だけど頑張らなきゃ』とか言ってたぜィ」
モクバが再び真似て言う。
海馬は少し考えた。
頭の中で仕事のスケジュールを調整してみる。
「・・・少しならば顔を出せそうだな」


遊戯が、どんな風に参戦するのか、見てみたくなった。





「じゃあ連絡してやれば?きっと喜ぶぜ遊戯」
モクバは充電器からわざわざ携帯を持ってきて海馬に手渡す。
「・・・そうだな」


ニコニコと笑う気の回る弟に苦笑を返しながら、海馬はパチンと携帯を開いた。

 

 


 

END






モクバちゃんは兄サマ思いのイイコだと思います。

遊戯ちゃんは体育苦手そうだけど
体育する社長も想像できないなー(笑)




お題は此方から
■十二ヶ月を巡るお題■
宿花(閉鎖されました)

 

2007.10.07

 

 

 

>戻る