■十二ヶ月を巡るお題■
天敵、杉花粉(海表)
海表で獏良くんと遊戯ちゃん
「遊戯くん」
「獏良くん」
帰り際、下駄箱で自分の名を呼ぶ声に顔を上げると其処に獏良が立っていた。
自分の上履きを脱いで運動靴を取り出しながら獏良が言う。
「珍しいね、一人?」
「うん、今日は皆用があるって飛んで帰ったよ」
遊戯も獏良に倣って自分のスニーカーを下駄箱から引っ張り出しながら答える。
城之内と杏子はバイトだし、本田はお姉さんがお出かけするとかで甥っ子の面倒を見なきゃならないといっていた。
御伽は此処のところ店の手伝いで連日忙しそうだ。
「へえ、そうなんだぁ」
獏良はのんびりと言った。
「じゃあ邪魔者も居ないし、今日はボクが遊戯くんを独り占めだね」
「邪魔者って、酷いなー」
獏良の口調は柔らかく、おどけていて、遊戯も笑って返す。
「ねえ、遊戯くん。よかったら今日、ボクの家、寄っていかない?新しいシナリオ書いてみたんだ」
「うん、行く行く!」
遊戯は二つ返事でOKした。
獏良の言うシナリオとはTRPGのことだ。
ゲームのシナリオ、と聞いたら遊戯が飛びつかないわけはない。
「どんな話なの?」
「それはまだナイショだよ」
並んで喋りながら校門へ向かう。
「・・・くっっしゅん!」
その途中で、遊戯が大きなくしゃみをした。
「あれ、遊戯くん、風邪?」
くしゅくしゅとハナを擦って遊戯が答える。
「かなぁ?」
風邪の引き始めかもしれない。
「じゃなかったらこの時期、花粉症かもね」
獏良が言った。
「花粉症?」
「そう、花粉症」
獏良は遊戯の目を覗き込むようにして楽しそうに言う。
「目は痒いわ、涙は出るわ、鼻水とくしゃみは止まらないわ、大変だってよ花粉症って。しかも一回なったらもう直らないって言うし」
にこやかな獏良の言葉に遊戯は逃げ腰になる。
「もう、脅かさないでよ、獏良くん」
「えーでもホント大変だってよ?いまや現代人の天敵だよね」
「ゔ―」本当に花粉症デビューだったらどうしよう、と遊戯は不安になって唸った。
「くしゃみの理由として、他に考えられるとしたら」
獏良がふと、視線を流した。
「誰かが噂をしている、とかだね」
遊戯も釣られてそちらを見る。門の外に見慣れた黒い車が停まっていた。
「あ、」
「じゃあ遊戯くん、シナリオは今度にしよう?」
ね?と獏良がにこりと笑う。
「ご、ごめんね、獏良くん」
「いいよ。どうせなら皆でやった方が楽しいし。特に城之内くんに楽しんでもらえるようにうんと恐怖度上げてあるからね。いろいろ仕掛けもしておきたいし」
うふふ、と楽しげに笑う獏良を見ながら遊戯は苦笑する。
「じゃあホントごめんね、獏良くん」
車に向かって駆け出す遊戯に獏良が言った。
「ボクらの天敵にヨロシクね」
天敵、杉花粉(海表)
海表で獏良くんと遊戯ちゃん
「遊戯くん」
「獏良くん」
帰り際、下駄箱で自分の名を呼ぶ声に顔を上げると其処に獏良が立っていた。
自分の上履きを脱いで運動靴を取り出しながら獏良が言う。
「珍しいね、一人?」
「うん、今日は皆用があるって飛んで帰ったよ」
遊戯も獏良に倣って自分のスニーカーを下駄箱から引っ張り出しながら答える。
城之内と杏子はバイトだし、本田はお姉さんがお出かけするとかで甥っ子の面倒を見なきゃならないといっていた。
御伽は此処のところ店の手伝いで連日忙しそうだ。
「へえ、そうなんだぁ」
獏良はのんびりと言った。
「じゃあ邪魔者も居ないし、今日はボクが遊戯くんを独り占めだね」
「邪魔者って、酷いなー」
獏良の口調は柔らかく、おどけていて、遊戯も笑って返す。
「ねえ、遊戯くん。よかったら今日、ボクの家、寄っていかない?新しいシナリオ書いてみたんだ」
「うん、行く行く!」
遊戯は二つ返事でOKした。
獏良の言うシナリオとはTRPGのことだ。
ゲームのシナリオ、と聞いたら遊戯が飛びつかないわけはない。
「どんな話なの?」
「それはまだナイショだよ」
並んで喋りながら校門へ向かう。
「・・・くっっしゅん!」
その途中で、遊戯が大きなくしゃみをした。
「あれ、遊戯くん、風邪?」
くしゅくしゅとハナを擦って遊戯が答える。
「かなぁ?」
風邪の引き始めかもしれない。
「じゃなかったらこの時期、花粉症かもね」
獏良が言った。
「花粉症?」
「そう、花粉症」
獏良は遊戯の目を覗き込むようにして楽しそうに言う。
「目は痒いわ、涙は出るわ、鼻水とくしゃみは止まらないわ、大変だってよ花粉症って。しかも一回なったらもう直らないって言うし」
にこやかな獏良の言葉に遊戯は逃げ腰になる。
「もう、脅かさないでよ、獏良くん」
「えーでもホント大変だってよ?いまや現代人の天敵だよね」
「ゔ―」本当に花粉症デビューだったらどうしよう、と遊戯は不安になって唸った。
「くしゃみの理由として、他に考えられるとしたら」
獏良がふと、視線を流した。
「誰かが噂をしている、とかだね」
遊戯も釣られてそちらを見る。門の外に見慣れた黒い車が停まっていた。
「あ、」
「じゃあ遊戯くん、シナリオは今度にしよう?」
ね?と獏良がにこりと笑う。
「ご、ごめんね、獏良くん」
「いいよ。どうせなら皆でやった方が楽しいし。特に城之内くんに楽しんでもらえるようにうんと恐怖度上げてあるからね。いろいろ仕掛けもしておきたいし」
うふふ、と楽しげに笑う獏良を見ながら遊戯は苦笑する。
「じゃあホントごめんね、獏良くん」
車に向かって駆け出す遊戯に獏良が言った。
「ボクらの天敵にヨロシクね」
END
獏良くんはにこやかな顔でさらっとなんか言う子だと思ってるんですが
普段おっとりしてるからあんましイヤミにならないんじゃないかなと思います。
遊戯ちゃんのお友達にとって
遊戯ちゃんをすぐ拉致ってく社長は杉花粉と同じくらい天敵ってことで(^_^)
お題は此方から
■十二ヶ月を巡るお題■
宿花(閉鎖されました)
2008.03.08