「おかえりなさい、海馬くん」
「おかえりなさい、兄サマ」
自宅の扉を潜ると、遊戯とモクバが出迎えてくれた。
海馬の帰りを待つ間、二人で仲良く遊んでいたらしい。
「雨降らなくてよかったね、海馬くん」
「もうすぐ降るだろうって、遊戯と話してたんだぜィ兄サマ」
「何だ、お前たち。気象予報士にでもなったのか」
まるで天気予報でも出来るかのような遊戯とモクバの口ぶりに、海馬がそう訊ねた。
「違うぜィ」
「なんとなくわかるんだよ、湿気が多いなぁって」
確かにこの梅雨時期、湿度はかなり高いが、だからといって予報など海馬には出来ない。
「海馬くんみたいにサラサラストレートの人にはわかんないよ」
ねぇ、とまるで共犯者のように、モクバと遊戯は顔を見合せて笑う。
自分だけが阻害されているようで少し面白くない。
海馬がそう思ったのがわかったのか、遊戯は種明かしをした。
「癖っ毛だと、湿気で髪の毛がむわんむわんになるんだ。だからそれで雨が降るな、って思うわけ」
「そうそう、もわもわになんだぜィ」
成程、髪の毛で予想するらしい。
モクバも癖っ毛だし、遊戯の遺伝らしい特殊な髪形も、そうなのだろう。
「湿度が高ければ水分を含んで髪はしっとりと落ち着くのではないか？」
「うーん・・理屈はそうなのかもしれないけど・・でもなんか髪の毛がくるくるしていつもよりむわんむわんになるんだよね」
「そう、むわんむわん」
身振り手振りを交えて、二人は繰り返す。
海馬は笑った。
「お前たちの話は擬音が多すぎるぞ。それでは他人は理解できまい」
「えーでもむわんむわんってのがぴったりなんだもん」
「そうだぜィ」
ね、と遊戯とモクバはまた顔を合わせて笑った。



自社の副社長を任せていて、日頃は年齢よりも大人びて見えるモクバが、年相応の顔をしていることに、海馬はまた笑う。


それが遊戯のおかげであると、知っている。



「そういえば、遊戯のトコの爺さんも同じ髪型だけど、やっぱ天気予報できるのか？」
モクバの疑問に遊戯は神妙な顔で答えた。
「爺ちゃんは腰で天気予報するんだ」
「腰？」
聞き返すモクバに神妙な顔のまま頷く。
「ぎっくり腰やってから、雨の時は痛むんだって」


「そういうのは遺伝したくないよね」
祖父譲りのヒトデ頭を傾けて、遊戯がしみじみと言うので、モクバと海馬は顔を見合せて笑った。

ＥＮＤ

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海表
仲良しモクバちゃんと遊戯ちゃん
家族ぐるみのおつきあい、みたいな（＾−＾）
私も癖っ毛なのですが
むわんむわんになる、と言ったら
わからない、と言われました；
んーこう広がってどうしようもないカンジ？







お題は此方から
■十二ヶ月を巡るお題■
宿花（閉鎖されました）