■ハメを外したくなる夏の深夜(海表)■

■季節4題
ハメを外したくなる夏の深夜


 










 

明日の夜、河原で結構大きな花火大会がある。
皆で行こうねって約束しているんだけど、海馬くんももし都合が付いたら来てくれないかな。
事前にモクバくんから、此処の所それほど忙しくないから明日は兄サマも休日だって情報を仕入れた上でボクは電話をかけてみた。
他愛もない話の後さり気ない風を装って言ってみる。
「明日、花火大会があるんだよね。海馬くんももしよかったら一緒に行かない?」
準備万端の上で誘ったつもりだったけど、海馬くんは携帯の向こうでほんの少し黙った。
何時も饒舌な人が黙ると怖い。
「海馬くん?」
『…言い直せ』
は?
ボクは小首を傾げた。
言い直せ、ってことは聞こえなかった訳じゃないよね。
ボクはつい遠慮しいしいモノを言っちゃうタイプだけれど、海馬くんは「もしよかったら」なんて誘われ方はあまり好きじゃないかも。
そう思っていたら海馬くんは補足してくれた。
『思わずオレが誘いに乗りたくなるような言い方をしろ』
腕を組んで仁王立ち。
目の前に居たらまさにそんなカンジだろう。容易に想像できる。
ようするにボクの言い方は落第点だったという訳だ。
一応コイビトドウシという関係になって気が付いたんだけど、海馬くんは結構ヤキモチ焼きなんだ。
特別扱いして貰いたがる。
だからつまり「海馬くんも」って言い方が気に入らなかったのだ。
他の人達と同列に扱われるなんて我慢出来ない、という訳だ。
同じに扱ってるつもりなんて全然ないんだけどな。
海馬くんはボクにとってトクベツな存在なのに。
「ボク、海馬くんと一緒に花火がみたいな」
『いいだろう』
良かった、とりあえず及第点は貰えたみたい。
ホッとするボクに海馬くんは言った。
『オレはお前と二人きりでみたいんだがな』
携帯ってある意味破壊力がスゴイ。
海馬くんに耳元でそんな風に囁かれたら……



「じゃあ途中で一緒に抜けだしちゃおうか」



ああ神様、ボクは海馬くんと付き合うようになって爛れてしまいました。
勿論海馬くんだけのせいにする気はありませんケド。

だって恋愛は共同作業だものね。


 






END




海表
ただのバカップルであった。
社長は絶対独占欲強いと思う。


お題はこちらから
現世の夢


 

2012.07.29

 

 

 

 

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