まだ慣れない電話
海表+闇様
さっきから小一時間、遊戯は携帯の前で唸っている。
<遊戯>は見かねて声を掛けた。
『どうした相棒』
「海馬くんに携帯番号を教えて貰ったんだけど」
それは<遊戯>も知っている。
「今かけても平気かな、とか考えてたらなかなかかけられなくてさ」
海馬くんはお仕事忙しいし。
そんなこと気にせずにかけてしまえばいいのだ。
遊戯からの電話が欲しくて番号を教えてきたのだから。
とはいえ、うんうん唸る遊戯は可愛らしい。
何を喋ったらいいのかな、まず今時間大丈夫か聞いて、それからええと世間話?
本人は真面目なのだが電話一つで此処まで悩むとは。
「そうだ!何を喋るか書き出してみよう」
紙と鉛筆を探しだした遊戯に、とうとう<遊戯>は吹き出した。
電話をする為にシナリオを書くつもりなのだ。
海馬くんが時間があるって言ったら次はこう言って、その後は、という風に常に二択を考えてシナリオは進んで行く。
獏良も吃驚のRPG長編シナリオだ。
<遊戯>は肩を震わせながら言った。
『相棒、もういっそ手紙にしたらどうだ?』
「そうか…って駄目だよそれじゃ携番教えて貰った意味がないじゃない。もう、キミ面白がってるでしょ!」
勿論面白がっている。
しかし相棒は可愛いなあとも思っている。
可愛い相棒の為に助言してやろうかくらいの気持ちはある。
そんなに悩むことはないのだ。
声が聞きたかっただけ。
そう言ってやればいいのだ。
再び唸りだした遊戯が、目の前の携帯がいきなりなったことで飛びあがった。
ちらりと液晶を覗くと其処に『海馬くん』の文字。
どうやら海馬は焦れて自分からかけてきたらしい。
「も、もしもしっ!」
『…今、いいか』
いつも上からの発言しかしない海馬とも思えない言葉だ。
まず今時間大丈夫か聞いて、と言っていた先ほどの遊戯の様だ。
そう思って、つい吹き出してしまった。
<遊戯>のそんな様子に気がつかず、遊戯は電話に夢中だ。
「海馬くん!うん大丈夫、今ねボクも電話しようって思っていたんだ」
なんか緊張してかけられなくて。
エヘへと遊戯が笑う。
安心しろよ相棒、多分海馬の方もそうだったに違いないから。
海馬も可愛い処あるじゃないか。
そう思ったので今回は邪魔しないで置いてやることにした。
END
海表+闇様
今回「は」邪魔しないけど
次はきっと邪魔するww
お題はこちらから
恋したくなるお題(配布)
2013.03.18