■昨日よりも想える自信(海表)■

■発展途上の恋のお題
昨日よりも想える自信
海表


 










 


「海馬くんて甘いもの好きじゃないよね」
「ああ」
別に嫌いというほどではないが、あまり甘いものは得意ではない。
何を急に言いだしたのかと思ったが、すぐに原因に思い当たる。
さっき見ていたテレビだ。
特集とかで、チョコレートを紹介していた。
世に言うバレンタイン、という奴だ。
此方の返答に遊戯は複雑な顔をした。
実に解り易い。
オレが沢山チョコを貰うんだろうな、とかそういうことを考えているのだろう。
確かにこのイベントではチョコレートを貰う機会も多いが、渡してくる女の多くは、オレの『社長』という肩書に好意を寄せる打算的な人間だ。
一応愛想良く振舞ってはいるが機械的に受け取るだけで処理は磯野に任せている。
此れを言ったら言ったで遊戯はそんな風に扱うのはいけないなどと言いそうだが、他の人間からバレンタインのプレゼントを貰うことも実は面白くは無いようだ。
遊戯は、ヤキモチを焼いている。
此方は其れが内心嬉しくて仕方ない。
「バレンタインか」
そう言ってやると遊戯は心底驚いた顔をした。
「なんでわかったの?!」
「お前は解り易いぞ。顔に全部書いてある」
「うそ!?」
遊戯はぱっと顔に手を当てた。
何処に書いてあるのかと顔じゅう撫でまわす。
その様子がおかしくてつい笑ってしまった。
「本当に書いてある訳じゃない」
「…でもそんなに解り易い?」
「ああ」
正直で素直な性格が、出てしまって居るのだろう。
自分には無いものだ。
素直も正直も自分から縁遠い。
「…なんだその顔は」
遊戯は唇を尖らせて妙な顔をしていた。
にらめっこでもするのかというその顔はふざけている訳ではなく、大真面目だ。
「此れなら解らないでしょ」
解りにくい顔をしているつもりらしい。
考えていることは解り易いのに、時々突拍子もないことをする。
その辺りが一緒に居て飽きない。
「そんな顔をしても無駄だろう」
「えーそうかな。此れ、解りずらくない?」
その妙な顔も可愛いが、いつもの顔の方がいい。
笑って怒って、くるくる変わるその表情を眺めている方が楽しい。
「まあ別にいいが」
遊戯の近くまで行って身を屈める。
そっとその唇に触れてから、言った。



「そんなに唇を尖らせていると、キスするぞ?」


「……っ!」
遊戯は唇を押さえて文字通り飛びすさった。
「してから言わないでよ!海馬くん!!」
真っ赤な顔でにゃあにゃあ騒ぐ遊戯はやはり可愛らしい。
いくら見ていても飽きない。

 

 






ずっと一緒に居たいと、その顔を眺めていたいと思うのだ。


 

 












END




海表
どう見てもバカップルですご馳走さま


 


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2014.02.15

 

 

 

 

 

 

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