■人気者の君に妬く(海表)■

■発展途上の恋のお題
人気者の君に妬く(海表)


 










 


恋人がサンタクロースって歌があったなあ、と遊戯はちょっと遠い目になった。


通された部屋には背の高いサンタクロースが居た。
海馬だ。


サンタクロースの扮装をした海馬は此方を見るなりいつもの調子で宣言する。
「良く来たな遊戯!この海馬ランドのイベントを楽しんでいくがいい!!」
このテンションにも慣れた。
遊戯は動じず返事をする。
「うん、お招きありがとう海馬くん。それで、どんなイベントなの?」
有無を言わせずいきなり車に乗せられた遊戯の質問は尤もだと思う。
其処へモクバがやってきて解説を始めた。
「サントがトナカイを捕まえるイベントだぜィ」
クリスマスに仕事が嫌で逃げ出したトナカイを配達に行きたいサンタが捕まえる、という設定。
つまり、こういうことらしい。
サンタ役とトナカイ役に分かれて、サンタはより多くトナカイを捕まえた者が、トナカイは制限時間を逃げ切った者が勝利、賞品などを貰う。
「トナカイにはこの赤い鼻が支給されるぜィ。此れはサンタが近づくと光って音が鳴るんだ」
モクバがそう言って音を鳴らして見せる。
鼻からはこの時期良く聞く音楽が軽快に鳴りだした。
「赤鼻のトナカイだね。成程」
「此れを頼りにサンタはトナカイを探し、トナカイの方はサンタから逃げるんだぜ」
だいたいの所はわかった。
「でも其れで2時間も逃げるの大変じゃない?」
「合間に参加型のイベントを挟むんだ。サンタが増えたり、アイテムが手に入ったりする」
「リアルRPGってカンジだね。面白そう」
遊戯が興味を示したことで気を良くしたのか、海馬が言った。
「遊戯、お前はこのオレが必ず見つけて見せるぞ!!」
そうして此方の返事も待たず、高笑いしながら部屋を出て行く。
「…海馬くんも参加するんだ」
「うん、兄サマが居るとモチベーション上がるしね」
参加希望者も増えるし、とモクバは言った。
「良くも悪くも人を惹きつける人だもんね」
性格はアレだけど、背も高いし、美形だ。
参加者名簿に女性の名が多いのもちょっとひっかかる。

ちょっとだけ。

モクバが申し訳なさそうに言った。
「ゴメンな、遊戯。せっかくクリスマスなのに」
「いいよ、大丈夫。海馬くんと一緒のクリスマスだもの」
モクバは遊戯と海馬が付き合っている事を知っている。
クリスマスに恋人らしいことを出来ないのを気にしているらしいが、遊戯的には海馬と一緒なのだし、問題はなかった。

独り占めとはいかないのが、少しつまらないけど。

其処で遊戯はふといいことを思いついた。

「ねえ、モクバくん。合間に入れるイベントに、こういうのどうかなあ?」


デュエルじゃなくてもゲームと名がつくモノならば負ける訳にはいかない。


 

 



***

「良く来たね海馬くん。さあデュエルだ!」

デュエルリングに現れた海馬はいらいらとした調子で叫んだ。
「遊戯!此れはどういう事だ!!」
「ボクが勝ったら、今まで捕まったトナカイは開放して貰うよ。その代わりキミが勝ったらサンタは増員していい」
「このオレにデュエルを挑もうと言うのか」
「そうだよ。負けないからね!」
海馬が高らかに言い放った。
「いいだろう!このオレに喧嘩を売った事を後悔させてやる!!」

 


別に喧嘩を売ってる訳じゃないんだけどな、と遊戯は思う。



こうやってデュエルをしている間は、海馬は遊戯の事だけ考えている。


遊戯だけのモノだ。

独り占めだ。

 


ボク、結構ヤキモチ焼きなのかも。

 


遊戯はくすりと笑った。






「「デュエル!!」」
二人の声がハモった。










END

 




めりくり海表
海馬ランドで逃/走/中/的なイベント
遊戯ちゃんは拉致られて強制参加w
クリスマスに社長と過ごしたい遊戯ちゃんが
合間にイベントねじこんだ、的な。

メリークリスマス!

 


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2015.12.24

 

 

 

 

 

 

 

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