■空に浮かぶ秋模様■

■季節4題






海馬家とは

遊戯ちゃんと社長が夫婦で(にょたではないです)
長男は闇様で次男が乃亜王子というパラレルシリーズです。
基本は海表。
詳しくは此処から




武藤遊戯は高校を卒業すると思い切り良く海馬家へ嫁に行きました。
嫁、という表現は世間一般的には正しくないかもしれません。
武藤遊戯という人物は、小柄で細く大きな瞳が印象的な可愛らしい容姿を持ってはいましたがまぎれもなく「男の子」でしたから。
ですが海馬瀬人と武藤遊戯は「恋人同士」でありましたので海馬邸で一緒に暮らしだしたということは結婚したも同然ということでしょう。
男同士ではありましたが。
そうして二人の間に待望の第一子が生まれました。
何度も繰り返しますが二人とも男です。
普通に考えれば子供が出来るわけなどありません。
でもこの場合そんなことは些細なことなのです。
気にしてはいけません。
ここで問題なのはその生まれた男の子が遊戯が<もうひとりのボク>と呼んでいた古代エジプトの王様『アテム』の生まれ変わりだった、ということでした。

 


 

***************


 
ブランコに乗った<遊戯>の背を押してやりながら遊戯は隣に立つ瀬人に礼を言った。
「さっきはありがとう、海馬くん」
この公園へ来るまでの道で、<遊戯>が質問して来たのだ。
秋になったら空が遠く高くなった気がするけどなんでだ?
それに遊戯は詰まってしまった。
確か空気が乾燥してどうのこうの、とか聞いたことはあった気がしたのだが、はっきり答えられなかった。
其処に助け舟を出してくれたのが瀬人だ。
気温が下がると上昇気流が起こりにくく、空気中のチリや埃を減って空気が澄むから高くなったように見えるのだ。
それは科学的にちゃんと根拠がる事なのだと瀬人は<遊戯>に言った。
「さすが海馬くんだよね」
心底感心して遊戯は言う。
「オレはただ知っているだけだ」
「でも其れってすごくない?」
「あの花の名を知っているか?」
この公園に着いた時、遊戯が綺麗だね、と言った花だ。
「え?えーと黄色いコスモス?」
「近いな。キバナコスモスだ」
さすが海馬くんモノ知りだなあ。
感心する遊戯に瀬人は言う。
「オレは確かに知ってはいるが、空が高いことも、花が咲いていることも、お前や<遊戯>が居なければ気がつかなかっただろう」
目に入っていても気がつかない。
其れはとても寂しいことかもしれない。
少なくとも瀬人はそれが寂しいことだと感じているのだ。
「知っていてもそれだけでは意味がないのだ」
「そんなこと無いよ」
「海馬くんはボク達にそうやって知ってることを教えてよ」
そうしたらもう寂しくないよ。
「ボクや、もう一人のボクや、乃亜くんや、モクバくんが、花が咲いてるよ、空が高いよって言うから」



だから一緒に花を見たり空を見たりしよう?

 


ずっと一緒に。

 

 




***************


「あいぼう、おなかへった!」
「今日はねえサンマを貰ったからね!」
他愛無い話をしながら家へ帰る道。
ああ幸せだなあと遊戯は思うのでした。

 


海馬家は、今日も平和です。


 

 

END





海馬家
何時でも幸せ海馬家





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現世の夢

 

2012.09.30

 

 

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