■指折り待つ日■

■発展途上恋のお題






海馬家とは

遊戯ちゃんと社長が夫婦で(にょたではないです)
長男は闇様で次男が乃亜王子というパラレルシリーズです。
基本は海表。
詳しくは此処から




武藤遊戯は高校を卒業すると思い切り良く海馬家へ嫁に行きました。
嫁、という表現は世間一般的には正しくないかもしれません。
武藤遊戯という人物は、小柄で細く大きな瞳が印象的な可愛らしい容姿を持ってはいましたがまぎれもなく「男の子」でしたから。
ですが海馬瀬人と武藤遊戯は「恋人同士」でありましたので海馬邸で一緒に暮らしだしたということは結婚したも同然ということでしょう。
男同士ではありましたが。
そうして二人の間に待望の第一子が生まれました。
何度も繰り返しますが二人とも男です。
普通に考えれば子供が出来るわけなどありません。
でもこの場合そんなことは些細なことなのです。
気にしてはいけません。
ここで問題なのはその生まれた男の子が遊戯が<もうひとりのボク>と呼んでいた古代エジプトの王様『アテム』の生まれ変わりだった、ということでした。

 


 

***************


 
「あいぼう、いいにおいがする」
窓を開けた<遊戯>が言った。
窓の側に行って<遊戯>の隣に立った遊戯が鼻を鳴らす。
「ああ、金木犀だね。ホント、いい匂い」
其れからこちらを振り返って言った。
「そう言えば、そろそろ海馬くんの誕生日だね」
言われたモクバは今の話題と兄の誕生日が結びつかなくてぱちぱちと目を瞬く。
遊戯が首を傾げた。
「どうしたの?」
「いや金木犀の話から急に兄サマの誕生日の話になったからさ」
遊戯の中では話が飛んだ訳ではなかったのだろう。
モクバの知らない、金木犀と誕生日を繋ぐ様なキーワードがあったに違いない。
そう思って聞くと遊戯は言った。
「前、海馬くんのお母さんがこの花が好きだったって話聞いて、其れでなんかこの香りを嗅ぐと思いだすんだ」
お母さんの話。
「大事な思い出を分けて貰ったような気がしたんだ」
そんな大切な思い出を聞けて、本当の海馬に近づけたように思えたのだと遊戯は言う。



確かにそれはモクバにとっても大切な思い出だった。



幼かったモクバには本当の親の記憶がほとんどない。
モクバの中で、本当の両親は、おぼろげな記憶と、兄の話で構成されている。
兄からお母さんやお父さんの話を聞くのが好きだった。
けれどこの家に来てからはそんな話をすることも無くなってしまった。
モクバは其れが寂しかった。
会話も減って、まるで家族ではなくなってしまったように思えた。
其れがいつの間にかまた前のように話をするようになれた。

いつの間にか。
いや、違う。



遊戯が自分たちの間に入ってきてからだ。



「其れ、何時聞いたんだ?」
「ええと、随分前だよ。高校の時、かなあ」
遊戯が記憶を探るように首を傾げてそう言った。

 



多分、その頃から、兄は遊戯とずっと一緒に居たいと思っていたのだ。

家族として、ずっと一緒に生きていきたいと思ったのだ。



 


***************


それはモクバにとっても幸せなことでした。
この家に来てからモクバはずっと寂しかったのです。
けれど遊戯がこの家にやってきて、モクバは兄と遊戯とそして<遊戯>や乃亜と、家族になることが出来ました。
寂しいなんて思うことも無くなりました。
「それじゃ兄サマの誕生日に向けて、企画会議を始めようぜぃ」
「「おー!」」



多分これが幸せってことなのです。





海馬家は、今日も平和です。






 

 

 

END





ものすごく久々に海馬家
社長お誕生日おめでとうございます!!

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2014.10.25

 

 

 

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