■クラッシャーメイド遊戯3(闇表・海表)■

クラッシャーメイド遊戯
遊戯ちゃんと闇様が社長のうちでメイドのバイト。
女装ですので注意。










海馬邸でメイドがやめたからと言って何故遊戯が働かなくてはならないのでしょう。
遊戯にはさっぱりわかりません。
「遊戯」
わからないことだらけで頭がパニックになりそうな遊戯にイシズが優しく呼びかけました。
「千年アイテムの謎をあなた方も知りたいはずです」
遊戯は大きく頷きました。
「それは私も同様です」
イシズは続けます。
「墓守として千年アイテムについてもっと詳しく知りたいのです。セトが前世で千年アイテムに何か係わりを持っていることは貴方方も気が付いているでしょう?」
遊戯も千年アイテムについて、そして<遊戯>の過去について知りたいと思っていました。
<遊戯>はもちろんそんなそぶりは見せませんが記憶がない、ということはかなり不安なことだと思うのです。
自分がそうだったらどうでしょう。
そう考えるとなるべく早く何とかしてあげたい、と遊戯は思うのでした。
「そこで瀬人のところで探ってきて欲しいのです」
「・・・それはわかりましたけど」
遊戯はもう一度言いました。
「なんでメイドなんですか?」
「先ほども申し上げたとおり、海馬邸でメイドの欠員が出たからです」
いやそうじゃなくて。
遊戯は頭痛がして顳顬を押さえました。
「・・・メイドって女の子のお仕事なんじゃないかなぁ・・・」
「それが何か?」
・・やっぱり。
それがいったいどうしたというんですか、と言わんばかりのイシズの口調に遊戯はくじけそうになりました。
というかかなりへこみました。
遊戯にとっては大問題でもイシズにはそんなこと関係ないのです。
追い討ちをかけるように<遊戯>が囁きます。
今は実体がないのですから別にイシズに聞こえるわけではないのですが先ほどからの展開で用心しているようです。
『相棒、メイドってなんだ?』
そんなことも知らないのかと墓守に思われるのが王として嫌なのかもしれません。
「メイドって言うのはね、お仕事名だよ」
遊戯もつられてひそひそ声で答えました。
どっちにしろ声を出してしまっては意味がないのですが。
「海馬くんの家に遊びに行くといるでしょう?同じ服で、同じエプロンつけてお茶とか持ってきてくれる女の人」
遊戯は“女の人”のところに力を入れてみました。
これはちょっとイシズに聞いてもらいたかったのですが馬耳東風で流されたようです。
何の反応もありません。
『ああ!』
<遊戯>がぽんと手を打ちました。
なんだかすごく嬉しそうです。
気のせいか遊戯をみる目がキラキラしています。
『きっと相棒に似あうと思うぜ!!』
・・・そんなこと言われても遊戯は少しも嬉しくありません。
むしろ嫌です。
自分の容姿にコンプレックスのある遊戯は小学生みたいとか女の子みたいに可愛いとか言われるのが嫌いでした。
遊戯だって男の子なんです。
カッコいいとか言われてみたいんです。
そんなわけで日頃温厚で暴力の嫌いな遊戯ですが思わず「ぐーでいい?」とか聞きそうになりました。
でも怒ってはいけません。
<遊戯>がイジワルで言っている訳ではないのは遊戯にはよくわかっていました。
心から「きっと似あうに違いない!」と思ってくれているのです。
相手はエジプトの王様です。
それに墓守。
日本の文化に少々疎くても仕方のないことです。
メイドが日本の文化なのかどうかなんて突っ込んじゃいけません。
とにかくこの部屋の中に遊戯の味方はいませんでした。
メイドなんて嫌だ!!
という遊戯のささやかなしかし男の子として当然な主張に耳を傾けてくれる人などいませんでした。
頼みの綱のはずの<遊戯>がこうなのですから。
孤立無援でした。

 



2003.02.06

 

 

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