■マシマロ(城表)■

小姑様シリーズ・城×表
伽が不幸なカンジ(^^ゞ




小姑闇様シリーズとは
遊戯ちゃんを溺愛してる闇様が
大事な相棒を守るため邪な心を持って近づいてくる輩を撃退する話(ちょっとウソ・笑)です。
遊戯ちゃん逆ハーレム状態。でも無自覚。







「待ってよ、城之内くん」
ぱたぱたと遊戯の走ってくる音が聞こえたが、オレは振り返ることが出来なかった。
まだ顔が熱い気がする。
本田のやつが妙なこと言いやがるから。
今日は御伽のとこでD.D.Dのブースターだかなんだかの新しいのが出るんだそうだ。
買いに行く、と言う遊戯を当然オレは止めた。
だって考えてみろよ?
遊戯はこの間あいつのせいで死にかけたんだぜ。
へたしたら本当に焼け死ぬところだったんだ。
まぁ・・・正確にいうとあいつの親父のせいなんだが。
どうも遊戯はそういうことはすぐ忘れてしまうらしい。
困ったもんだ。
海馬の奴にもさんざんひどい目にあわされたのに「友達になりたい」なんて言うし!!
オレは絶対あんな奴信用しねぇぞ。
御伽だってそうだ。
海馬よりはまあまだマシだし、前と違って遊戯にすごく好意的だけど。
その「好意的」なとこが・・・気に食わないんだよな。
やけに遊戯にベタベタしやがって。
遊戯は「友達」が増えたもんで素直に喜んでるし。
・・・そうやって誰にでも笑顔ふりまくの、やめてくれないか。
オレだけにその笑顔をくれたらいいのに。
内心思っても口には出せない。
オレってわりと小心者かもなぁ。
そうして結局心配で一緒に行くハメになってるわけだ。
その途中で本田の奴に出くわしてからかわれるし。・・・ついてねぇな〜。
「城之内くんてば!」
追いついてきた遊戯がオレの手をとった。
ドキッとする。
その手の柔らかさに。
あぁあっ!!こんなんだから本田の言ったことも否定出来ないで逃げ出すようなハメになっちまうんだよ。
そのくせその手を振り払うことも出来ない。
「もう!どんどん行っちゃうんだもん」
「わ、わりぃ」
遊戯は息を切らしながらオレに抗議する。
ちょっと口をとがらせて見せる遊戯は、やっぱり高校生には見えない。
オレがあやまると遊戯はぱっと笑った。
可愛い、と思う。
思うんだけど。
いろいろ問題もあるんだよな〜。



店の扉を開けるとカラン、とドアベルが鳴る音がした。
「いらっしゃい!」
営業スマイルで振り返った御伽は遊戯の顔を認めるなり、満面の笑顔になった。
「遊戯!!」
めちゃくちゃ嬉しそうなその顔と対照的にオレの顔は苦虫を噛み潰したようになる。
・・・むかつく。
オレの考えを読んだかのようにやっとオレの存在に気がついた御伽がやはりむっとした顔をした。
余計な奴までついてきたと言わんばかりの表情!!
やっぱ腹立つ〜!!
御伽のウチはあの一件以来さすがに悪いと思ったのか、遊戯の家の前でなく少し離れたところに店を構えた。
火事で焼けた前の店よりこじんまりとしたものだが、御伽の「D.D.D」とかがあるせいでそれなりに繁盛はしているようだ。
その御伽はオレをまったく無視して遊戯の前に今日発売だというブースターを並べている。
一生懸命遊戯にその新しいモノについて説明しているようだ。
身振り手振りを交えて必死に話し掛ける御伽に遊戯は愛想よく答えている。
その遊戯の笑顔に御伽はまた幸せそうな顔をする。
・・・つまらん。
同じ穴のムジナとでもいうか、あの笑顔を見せられて幸福感に酔ってしまう御伽のその気持ちはわかる。
わかるんだが。
わかるだけに、どうもおもしろくないんだよな。
おもしろくないが、御伽の奴が遊戯に妙なことしないように付かず離れずの位置でオレは様子を見ていることにした。
御伽がオレのことを邪魔そうに見たが今度はオレがまったく気が付かないフリをして無視してやった。
しかし御伽はそんなことでは挫けずに遊戯に誘いをかける。
「これからちょっとゲームしないか?」
「ほんと?」
ゲーム、と聞いたとたん遊戯の目がキラキラ輝きだした。
遊戯はすっかりその気だ。買ったばかりのD.D.Dの袋を破いて中身を確認する。
そんなにゲームが好きかねまったく。
しかし、その時。
遊戯の胸元が光ったような気がした。
正確にはいつも遊戯が首から下げている千年パズルが。



「悪いが今日はだめだ」



もうひとりの<遊戯>はそりゃもうきっぱりと言い放つ。
「帰ろうぜ、城之内くん」
「あ、ああ」
<遊戯>は肩を落とした御伽を尻目にさっさと帰り支度を始めた。
ぱっと見にわかるほどの御伽のその落ち込みようにちょっぴり気の毒になったりもする。
が、<遊戯>は御伽が気に入らないらしい。
そりゃまぁ自分という『存在』がへたすりゃなくなるとこだったんだし、わからなくもない。と言いたいトコだが実はそれが原因ではない。
問題ってのはここだ。
こっちの<遊戯>は遊戯に近づく奴はみんな気に食わない、らしい。
近づく奴、というか・・・。多少なりとも下心ありだったりする奴は特に、というか。
そりゃもう鉄壁の守りって奴である。保護者のようだ。
それはオレも例外ではない。
それゆえにいろいろ苦労もあるわけだ。
<遊戯>は何か一人でぶつぶつ言っている。多分内部会話中なんだろう。
「ごめんね、御伽くん。また明日学校でね!」
「あ。ああ。また明日!」
遊戯が大きな目でじっと御伽を見つめて言うと奴はあっさり立ち直って手を上げてみせた。


「なんか用でもあるのか?」
オレが聞くと遊戯はいたずらっ子のように笑って見せた。
「うん、もうひとりのボクに怒られちゃった」
「なんだ?」
「僕んち今日焼肉なんだ〜。じいちゃんに朝出かけに早く帰ってこいって言われてたのに」
・・・焼肉。
オレはさっきの御伽のようにガクリと肩を落とした。
あいつ、焼肉に負けたんだ。・・・う〜ん、やっぱ気の毒ってゆーかなんてゆーか。
「・・・お前はホントに『三度のメシよりゲームが好き』なんだな〜」
「えへ」
もうひとりのボクが注意してくれなきゃ忘れてゲームしちゃうところだったよ〜。なんて遊戯はのん気なことを言っている。
「そうだ!城之内くん、ボクの家でごはん食べてかない?」
「え!いいのか?」
「うん!」
いや・・。オレが聞いたのはもうひとりの方に、なんだが。
案の定<遊戯>は何事か不平を述べたようだが遊戯の「みんなで食べた方がおいしいよ!」と言う一言で引き下がった。
なんか遊戯って・・・スゴイな。
結局<遊戯>も遊戯には敵わないって感じだ。
<遊戯>はものすごく遊戯を大事にしてる。惚れた弱み丸出しって気もしないでもないけど、でもオレだって負けねぇぞ。
オレだって遊戯のこと大切なんだから。
「だめ?なにか用事ある?城之内くん」
遊戯がオレの顔を覗き込んでくる。
ここでオレがダメだなんて言える訳ないじゃないか。
「行ってもいいのか?」
「うん!!」
この満面の笑みを蹴れるわけがない。
思わずその笑顔に向かって手を伸ばす。
そおっとその頬に触れる。やっぱり・・・柔らかい。
しかしそのとたん、遊戯の目つきが変わった。オレの手は押しのけられる。
「じゃあ早く行こうぜ」
「・・ああ」
ちぇっ。
小さくした舌打ちは多分聞こえていただろうが、流された。



すっかり暗くなった町の明かりの中を遊戯の家へと急ぐ。
そうしながらそのうち焼肉以外のものをごちそうになりたいとか考えるオレだった。
先は長そうだが。

 

END

 





ゆうかりさん2299HITリクエスト城×表です。
キーワードは「小姑闇様(笑)」と「城之内くんのささやかな幸せ」
後者に重きをおいてみました(笑)
ほんとにささやかだな〜。
タイトルは奥田民雄。
♪マシマロは関係ない〜・・って奴です。
そう・・タイトルにあまり意味はないのだ(爆)
ただハチミツとちょっと関係ありにしたかっただけです(笑)
御伽が書いてみたかったので満足(笑)

 

2000.12.18

 

 

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