闇様海馬様にしてやられるの巻(爆)
小姑闇様シリーズとは
遊戯ちゃんを溺愛してる闇様が
大事な相棒を守るため邪な心を持って近づいてくる輩を撃退する話(ちょっとウソ・笑)です。
遊戯ちゃん逆ハーレム状態。でも無自覚。
「隠し事?」
メシの時間に遊戯が突然言い出したのでオレは少なからず驚いた。
なんだよ、オレはお前に隠し事なんか・・・してるか。
『遊戯のことが好き』ってのを黙ってるわけだからこれも隠し事って言えば隠し事だ。
まさか、ばれたのか?
オレは内心ビクビクしながらでも表面上はさりげなく聞き返した。
「なんだよ、隠し事って?」
「うん、もうひとりのボクなんだけどさ」
なんだ。
オレは心の底からほっとした。
そりゃいつかはちゃんと告白して、友達以上の関係になりたいとは思っちゃいるが、まだ・・時期じゃない、と思う。
・・・ああ、それで千年パズルを置いてあるんだな。
机の上に大事そうに置いてある。弁当箱のふたの隣に。
メシの前の授業が体育だったので遊戯はパズルを外していた。
体育の最中はさすがに外さないとあれは結構大きいから走るのにも邪魔だし、第一危ない。
でもいつもなら授業が終われば真っ先に首にかけるのにヘンだなぁと思ったんだ。
まあ、おかげで卵焼きを貰えたんだが。
くれ、と言ったら遊戯はなんの躊躇もなく自分の使っていた箸でオレに卵焼きを差し出してくれた。
「はい」
なんて、満面の笑顔付きで。
あいつがいたら絶対邪魔されていただろう。
ここのところ機嫌悪いしな〜、あいつ。
「<遊戯>がどうしたんだよ?」
オレに相談するためにパズルをかけなかったのだ、と気が付いた時点でオレの方はもう上機嫌だったが。
信頼されてるよな、オレ。
「・・この間もさ、遅刻しそうになった時御伽くんに自転車に乗せてもらったんだけど」
ああ・・・アレな。
その御伽はさっきからこちらの様子を窺っている。
遊戯と一緒にメシが食いたいんだろう。わかりやすい奴。
でもオレだってせっかくの楽しいランチタイムを邪魔されたくなんかないね。
だから気が付かないふりをして無視してやる。
「自転車に乗ったらすぐ<もうひとりのボク>が出てきちゃって」
まあそんなとこだろうと思った。
ちょっぴり気の毒な感じはする。
同類相憐れむってこういうことなんだろうか。
オレは買ってきた牛乳にストローを挿した。
「もしかして<もうひとりのボク>・・・御伽くんと仲良くなりたいのかな?」
ぶはっ!
オレは飲みかけていた牛乳に噎せて咳き込んだ。
「だ、大丈夫?城之内くん」
どこからそ〜ゆ〜発想が出て来るんだよ、お前は・・・。
・・・そこがまぁ遊戯のいいトコなんだけどよ。
<遊戯>が聞いてたらなんて言うだろう。
遊戯は立ち上がってオレのそばに来ようとした。
多分背中でも摩ってくれようとしたんだろうが、イスから立った拍子に机にぶつかってパズルが落ちた。
「あ!」
慌てて遊戯は拾おうとしたが千年パズルは床の上を滑って御伽の方へ転がって行った。
御伽の奴はそれはそれは嬉しそうにそれを拾い上げようとした。
パズルを拾ってやれば確実に遊戯の笑顔が返ってくるからな。
しかし御伽よりもはやくそれは拾われてしまった。
拾ったのは。
「海馬くん、ありがとう!」
海馬!
なんだか知らないがこいつは最近真面目に学校来てやがる。
オレはあいつのことは嫌いだし、信用出来ないんだが、・・遊戯は違うんだよな〜。
オレはそれも気に入らないが<遊戯>の奴も気に入らないらしい。
ここのとこずっと不機嫌だ。
「返して欲しいのか?」
「うん」
遊戯は少し不安げに頷いた。
オレと御伽はゲーム機の影から遊戯達の様子を伺っていた。
なんかこそこそしてて・・・情けないったらありゃしない。
でも海馬の奴が遊戯に何をするつもりなのかわかんねえし・・。
パズルを返す条件として海馬は遊戯に放課後ちょっと付き合えと言ったのだ。
オレも御伽も大反対したのだが遊戯は「そしたら返してくれるの?」と海馬に確認し、奴が肯定するとあっさりその条件を受けてしまった。
・・・少しは疑えよ〜。
オレの心の叫びもむなしくその遊戯はさっきから格ゲーで海馬と対戦している。
オレもわからないけど、遊戯も最初は海馬がなんのつもりでゲーセンにつれてきたのかわからずに、戸惑っているようだった。
でも今はゲームに夢中になってしまっている。
まぁ・・そりゃそうだ。
遊戯相手に対戦でここまで互角に出来る奴って、悔しいけど海馬くらいだろうしなぁ。
オレはゲームより実戦向きなので遊戯にすぐやられちまう。
遊戯だって簡単に勝てる相手より海馬みたいのとやったほうが楽しいよな、多分。
そのうちに二人の対戦を見ようとギャラリーが集まって来てしまった。
対戦でこんな長々とやってたらそりゃ目立つと思う。
しかもその観客の中に遊戯と海馬を知ってる奴がいて大騒ぎになってしまった。
あいつらのM&W対決は結構有名だからな。
海馬はゲームをやめて遊戯の腕を取って外へ連れ出した。
遊戯はゲームが途中で不満そうだったが。
それから遊戯達は“バーガーワールド”へ寄った。
海馬がこんなところに来るなんて意外だ。
しかし二人は楽しそうに喋りながらハンバーガーを食っている。
楽しそうに、ってのはオレがそう見えるんであって実際のとこはどうだかわからないが。
とにかくオレ達は少し離れた席でそれを見ていた。
う〜ん。しかしこれって・・・。
なんてゆーか。
・・・デートみたいじゃないか・・・?
その時海馬の携帯が鳴った。
奴は一言二言電話の相手と言葉を交わすと遊戯に何か言って席を立った。
やばい、こっちに来る!
「遊戯、パズルはこいつに渡しておく」
な、何だって?!
オレの返事も待たず、海馬はひょいとパズルを投げてよこした。
慌てて受け止める。
「あ、城之内くん達も来てたんだ」
遊戯が食べかけのバーガーの乗ったトレイを持ってオレ達のテーブルに移動してくる。
その間に海馬の奴は店を出て行ってしまった。
「海馬くん、また明日!」
遊戯の声に奴は振り向きもしなかった。
あのヤロー、オレ達が付けてるの知ってやがったな。
それでわざわざパズルをオレに渡して行きやがったんだ。
オレは不穏な空気を放っている千年パズルを御伽に押し付けた。
翌日。
思ったとおり遊戯は朝から<遊戯>だった。
しかもものすごく不機嫌だ。
触らぬ神にたたりなし。
オレは今日一日ほうっておくことにした。
そしてその元凶は休みだった。
オレは敵ながらその手際の良さに心から感心した。
<遊戯>のあの様子じゃ二度目があるとは思えないが。
END
でんがなさん3196リクエスト、海馬→表です。
小姑闇様シリーズ(笑)
今回闇様はうっかりデートを許してしまいました(笑)
いやしかし全然カイオモじゃないよ(汗)
でもオイシイ思いをしてるのは海馬様オンリー!(笑)でも城之内くんも卵焼き貰ってるか。
そしてさりげなく不幸なのはやはり御伽(爆)
2000.12.22