小姑様シリーズ・バクラ→表・表受
小姑様シリーズバクラ様参戦編(笑)
小姑闇様シリーズとは
遊戯ちゃんを溺愛してる闇様が
大事な相棒を守るため邪な心を持って近づいてくる輩を撃退する話(ちょっとウソ・笑)です。
遊戯ちゃん逆ハーレム状態。でも無自覚。
小姑様シリーズバクラ様参戦編(笑)
小姑闇様シリーズとは
遊戯ちゃんを溺愛してる闇様が
大事な相棒を守るため邪な心を持って近づいてくる輩を撃退する話(ちょっとウソ・笑)です。
遊戯ちゃん逆ハーレム状態。でも無自覚。
「こんばんは、遊戯くん」
「獏良くん、どうしたの?」
コンコンとノックする音に気がついて窓を開けた遊戯は、そこに同級生の姿を見つけた。
遊戯が驚くのも無理はない。
シンデレラの魔法が解ける時間も疾うに過ぎ遊戯もそろそろ寝ようかなぁなどと考えていた矢先の友人の訪問だったからだ。
遊戯の問いに獏良はにっこり笑って答えた。
「月がとってもキレイだからさ、ちょっと一緒に散歩でもどうかなと思って」
「月?」
言われて遊戯は獏良の横から外に顔を出して夜空を見上げる。
丸い、大きな月は確かにとてもキレイだ。
「うん、キレイだね」
でしょ?と獏良はまた女子に絶大な人気を誇る笑顔を見せた。
「ね、行こうよ遊戯くん」
「えーと・・・」
重ねて誘われて遊戯はここで初めてちょっと躊躇った。
こんな月夜に散歩に出かけたら何かタノシイコトがあるような気もする。
気もする、がしかし。
遊戯の部屋は2階である。
こんな時間に2階の窓から部屋にやってきた来訪者にのこのこついて行ってしまってもはたしていいものだろうか?
答えは“否”
すでに窓を叩く音を聞いた時点で異議を唱えていたもうひとりの遊戯―<遊戯>は遊戯の知る限り「不機嫌ランク特A状態」でそうとうヤバイ感じである。
「何しに来た」
その<遊戯>が獏良に言った。
いつもより4割増で目つきが悪くなっている。
「なんだ、やっぱり王サマにはバレてたか」
獏良が笑った。
その声はいつもの獏良とは少し違うものになっている。
「あ、リングの・・・」
そこには獏良ではなく千年リングの人格、バクラがいた。
「何しに来た」
もう一度<遊戯>が言った。
「だから散歩のお誘いに来たんだよ」
もちろんただ散歩に誘いに来たわけでもないが。
“オレのものはオレのもの、ヒトのものもオレのもの”と言う考え方の盗賊バクラにとって遊戯は“欲しいもの”リストの中の上位にランクインしているもののひとつだ。
もちろん王サマが邪魔をするに決まっていることはわかっているのだが簡単に手に入ってもつまらない。
バクラは基本的に『ゲーム』が好きだ。
ようするにちょっかいが出したいのだ。
<遊戯>の方ははもちろん遊戯がなんと言おうとバクラのことなど塵ほども信用していないからその場は一触即発の雰囲気となる。
しかしその空気を破ったのはやはり遊戯だった。
「ねえなんで会話できるの?」
今『表』に出ているのは遊戯である。
つまり<遊戯>は実体化していない。
いつもなら遊戯にしか見えないし遊戯としか会話が出来ない状態のはずなのだ。
「夢みたいなものだからだよ」
「夢?夢なのこれ?ボクいつの間に寝ちゃったんだろう?」
遊戯が呟いた。
出鼻を挫かれたような気はしたがバクラは簡単に説明してやることにする。
そうしないことには話を先に進めさせてくれそうにない。
今遊戯達は3人でひとつのリアルな夢を見ているのだ。
バクラとしては遊戯だけを引っ張り込みたかったのだが余計なのもついて来てしまった。
「言うなれば幽体離脱みたいな感じか」
しかし遊戯はもうバクラの言うことなど聞いていなかった。
そおっと手を伸ばして<遊戯>に触れる。
触っている、感触がある。
「わぁ・・すごいねぇ!」
感動して遊戯が言った。
ようするに今は遊戯も実体がないのだ。
だから触れ合える。
ふたりとも心の部屋居る時と同じなのに、場所は遊戯の部屋だから現実に『触れ合っている』と錯覚しそうだ。
遊戯は現実のような感触がとても嬉しかった。
実は<遊戯>がそれ以上に感動して、さらに言うならもっといろいろ考えていたなんてことは遊戯は知らない。
もちろんバクラにとっては王サマの胸の内なんて本当にどうでもいいことだったからさっさと目的を果たすことにした。
「じゃあ行くか」
そうして遊戯をひょい、と抱えあげる。
世間一般で言う『お姫様抱っこ』だ。
「何?!やだっ降ろしてよ、バクラくん!」
抱えられた遊戯はバクラの腕の中でじたばた暴れた。
「相棒!」
<遊戯>がバクラの腕からやや乱暴に遊戯を奪い返した。
このまま抱いていたいのは山々だが<遊戯>相手でも遊戯が降ろせ降ろせと暴れるのは目に見えているのでそっと下に降ろして後ろにかばう形でバクラの前に立つ。
「なんだよ、どうせ遊戯クンは飛べないだろうから抱えていってやろうってのに」
「余計な世話だ」
バクラはあきらかに面白がっているが<遊戯>の方はかなり本気で怒っている。
今にも罰ゲームをくだしそうな勢いだ。
だがまたしてもその場の空気を変えたのは遊戯だった。
「飛んでいくの?」
遊戯が目をきらきらさせて聞いてくる。
とても楽しそうだ。
「お前にゃ無理だろ」
再三に渡って邪魔された気分で投げやりにバクラが言う。
「じゃあ3人で手をつなごうよ?」
「・・なんだそりゃ」
バクラと遊戯、遊戯と<遊戯>。
3人で手をつないで仲良く夜空の散歩。
やってられるか、と言うバクラの主張ももっともだ。
が。
「・・だめ、かな?」
ここでもう少し信用させといて王サマをイライラさせてやるのも面白いかもしれない、とバクラは考え直す。
小首をかしげながらバクラを見上げてくる遊戯にほだされたわけでは決してない。
「ああもういいぜそれでも。で。どこへ行く?」
「海馬コーポレーション」
「・・・・・・」
盗賊と王サマがそろって無口になっても誰も責めたりはしないだろう。
「あそこがこの辺じゃ一番眺めがいいし」
2人の沈黙をモノともせず遊戯は続ける。
「海馬くんまだお仕事してるかもしれないしさ」
・・・つまり散歩に誘いに行く、と。
「おいおい」
「わかった」
バクラはさすがに控訴を申し立てたが<遊戯>はあっさり判決を受け入れた。
遊戯の性格はわかっている。
「いいのかよ、王サマ?」
バクラが揶揄するように言った。
「・・海馬にはちゃんと釘をさしとかないとな」
言いながら<遊戯>は先ほどのバクラのように遊戯を抱えあげた。
「や、やだちょっと降ろしてよ!もうひとりのボク!!」
「この方がはやく着く・・・海馬が帰る前に会社に着いた方がいいんだろう?」
遊戯の抗議を舌先八寸で封じ込めて<遊戯>は窓から飛び出した。
多分海馬は会社にいるだろう。
カードの引き同様、こういう時の運はいい方だから。
内心舌打ちしつつ<遊戯>はふわりと空に舞った。
「やれやれ」
残されたバクラはゆっくり後を追うことに決めた。
当初の予定とはずいぶん違った展開になったが、ついていけば何か面白い見物がありそうだ。
「王サマも形無しだな」
バクラが笑った。
低く、しかし楽しげに。
振り回されている。
遊戯に。
王サマだけでなく。
それがバクラの感想。
自分もそのうちの1人だとバクラが気がついたのかどうか。
END
逆ハーですから。
基本的には私はバク獏なんすけどもね
「獏良くん、どうしたの?」
コンコンとノックする音に気がついて窓を開けた遊戯は、そこに同級生の姿を見つけた。
遊戯が驚くのも無理はない。
シンデレラの魔法が解ける時間も疾うに過ぎ遊戯もそろそろ寝ようかなぁなどと考えていた矢先の友人の訪問だったからだ。
遊戯の問いに獏良はにっこり笑って答えた。
「月がとってもキレイだからさ、ちょっと一緒に散歩でもどうかなと思って」
「月?」
言われて遊戯は獏良の横から外に顔を出して夜空を見上げる。
丸い、大きな月は確かにとてもキレイだ。
「うん、キレイだね」
でしょ?と獏良はまた女子に絶大な人気を誇る笑顔を見せた。
「ね、行こうよ遊戯くん」
「えーと・・・」
重ねて誘われて遊戯はここで初めてちょっと躊躇った。
こんな月夜に散歩に出かけたら何かタノシイコトがあるような気もする。
気もする、がしかし。
遊戯の部屋は2階である。
こんな時間に2階の窓から部屋にやってきた来訪者にのこのこついて行ってしまってもはたしていいものだろうか?
答えは“否”
すでに窓を叩く音を聞いた時点で異議を唱えていたもうひとりの遊戯―<遊戯>は遊戯の知る限り「不機嫌ランク特A状態」でそうとうヤバイ感じである。
「何しに来た」
その<遊戯>が獏良に言った。
いつもより4割増で目つきが悪くなっている。
「なんだ、やっぱり王サマにはバレてたか」
獏良が笑った。
その声はいつもの獏良とは少し違うものになっている。
「あ、リングの・・・」
そこには獏良ではなく千年リングの人格、バクラがいた。
「何しに来た」
もう一度<遊戯>が言った。
「だから散歩のお誘いに来たんだよ」
もちろんただ散歩に誘いに来たわけでもないが。
“オレのものはオレのもの、ヒトのものもオレのもの”と言う考え方の盗賊バクラにとって遊戯は“欲しいもの”リストの中の上位にランクインしているもののひとつだ。
もちろん王サマが邪魔をするに決まっていることはわかっているのだが簡単に手に入ってもつまらない。
バクラは基本的に『ゲーム』が好きだ。
ようするにちょっかいが出したいのだ。
<遊戯>の方ははもちろん遊戯がなんと言おうとバクラのことなど塵ほども信用していないからその場は一触即発の雰囲気となる。
しかしその空気を破ったのはやはり遊戯だった。
「ねえなんで会話できるの?」
今『表』に出ているのは遊戯である。
つまり<遊戯>は実体化していない。
いつもなら遊戯にしか見えないし遊戯としか会話が出来ない状態のはずなのだ。
「夢みたいなものだからだよ」
「夢?夢なのこれ?ボクいつの間に寝ちゃったんだろう?」
遊戯が呟いた。
出鼻を挫かれたような気はしたがバクラは簡単に説明してやることにする。
そうしないことには話を先に進めさせてくれそうにない。
今遊戯達は3人でひとつのリアルな夢を見ているのだ。
バクラとしては遊戯だけを引っ張り込みたかったのだが余計なのもついて来てしまった。
「言うなれば幽体離脱みたいな感じか」
しかし遊戯はもうバクラの言うことなど聞いていなかった。
そおっと手を伸ばして<遊戯>に触れる。
触っている、感触がある。
「わぁ・・すごいねぇ!」
感動して遊戯が言った。
ようするに今は遊戯も実体がないのだ。
だから触れ合える。
ふたりとも心の部屋居る時と同じなのに、場所は遊戯の部屋だから現実に『触れ合っている』と錯覚しそうだ。
遊戯は現実のような感触がとても嬉しかった。
実は<遊戯>がそれ以上に感動して、さらに言うならもっといろいろ考えていたなんてことは遊戯は知らない。
もちろんバクラにとっては王サマの胸の内なんて本当にどうでもいいことだったからさっさと目的を果たすことにした。
「じゃあ行くか」
そうして遊戯をひょい、と抱えあげる。
世間一般で言う『お姫様抱っこ』だ。
「何?!やだっ降ろしてよ、バクラくん!」
抱えられた遊戯はバクラの腕の中でじたばた暴れた。
「相棒!」
<遊戯>がバクラの腕からやや乱暴に遊戯を奪い返した。
このまま抱いていたいのは山々だが<遊戯>相手でも遊戯が降ろせ降ろせと暴れるのは目に見えているのでそっと下に降ろして後ろにかばう形でバクラの前に立つ。
「なんだよ、どうせ遊戯クンは飛べないだろうから抱えていってやろうってのに」
「余計な世話だ」
バクラはあきらかに面白がっているが<遊戯>の方はかなり本気で怒っている。
今にも罰ゲームをくだしそうな勢いだ。
だがまたしてもその場の空気を変えたのは遊戯だった。
「飛んでいくの?」
遊戯が目をきらきらさせて聞いてくる。
とても楽しそうだ。
「お前にゃ無理だろ」
再三に渡って邪魔された気分で投げやりにバクラが言う。
「じゃあ3人で手をつなごうよ?」
「・・なんだそりゃ」
バクラと遊戯、遊戯と<遊戯>。
3人で手をつないで仲良く夜空の散歩。
やってられるか、と言うバクラの主張ももっともだ。
が。
「・・だめ、かな?」
ここでもう少し信用させといて王サマをイライラさせてやるのも面白いかもしれない、とバクラは考え直す。
小首をかしげながらバクラを見上げてくる遊戯にほだされたわけでは決してない。
「ああもういいぜそれでも。で。どこへ行く?」
「海馬コーポレーション」
「・・・・・・」
盗賊と王サマがそろって無口になっても誰も責めたりはしないだろう。
「あそこがこの辺じゃ一番眺めがいいし」
2人の沈黙をモノともせず遊戯は続ける。
「海馬くんまだお仕事してるかもしれないしさ」
・・・つまり散歩に誘いに行く、と。
「おいおい」
「わかった」
バクラはさすがに控訴を申し立てたが<遊戯>はあっさり判決を受け入れた。
遊戯の性格はわかっている。
「いいのかよ、王サマ?」
バクラが揶揄するように言った。
「・・海馬にはちゃんと釘をさしとかないとな」
言いながら<遊戯>は先ほどのバクラのように遊戯を抱えあげた。
「や、やだちょっと降ろしてよ!もうひとりのボク!!」
「この方がはやく着く・・・海馬が帰る前に会社に着いた方がいいんだろう?」
遊戯の抗議を舌先八寸で封じ込めて<遊戯>は窓から飛び出した。
多分海馬は会社にいるだろう。
カードの引き同様、こういう時の運はいい方だから。
内心舌打ちしつつ<遊戯>はふわりと空に舞った。
「やれやれ」
残されたバクラはゆっくり後を追うことに決めた。
当初の予定とはずいぶん違った展開になったが、ついていけば何か面白い見物がありそうだ。
「王サマも形無しだな」
バクラが笑った。
低く、しかし楽しげに。
振り回されている。
遊戯に。
王サマだけでなく。
それがバクラの感想。
自分もそのうちの1人だとバクラが気がついたのかどうか。
END
逆ハーですから。
基本的には私はバク獏なんすけどもね
2001.06.02