シリアスのようですがギャグです(^^ゞ
他に誰もいない。
朝早いホームに、二人だけ。
列車を待っている。
帰路を辿る汽車。
みんなの、仲間の待つ場所へと帰る道。
列車がホームに入ってくる。
乗ろうとして、ボクは隣に居たはずのキミの姿が見えないことに気がつく。
もう1人のボク、どこへ行ったの?
見渡した視線の先にその姿を見つける。
向かいの列車の中。
行く先の違う汽車の中。
どうして。
キミを乗せた列車の扉が閉まる。
駆け寄って窓を叩く。
キミは寂しそうな顔をして言う。
一緒には帰れない。
オレは『この時間』の人間ではないから。
ここに留まることは出来ない。
発車した列車を追って走り出す。
どうして。
どうして。
そんなことないよ。
キミはここで生きてた。
ボクとここで生きてた。
帰ろう、一緒に。
みんな待ってるよ。
みんなキミが好きだよ。
行かないで
行かないで
行かないで
「行かないで!」
自分の声と頬を伝う涙で目が覚めた。
夢は時に真実を映す。
行かないで。
王の魂を冥界に帰してあげる事が
ボクの使命だなんて
バクラくんにはあんなにエラソウに言ったくせに
あれが
ボクの本音なんだ。
決して言ってはいけない本当の言葉。
行かないで。
・・・最低な気分の朝。
「おーっす!遊戯」
城之内がいつもと変わらぬ笑顔で言った。
「おはよー、城之内くん」
それに答える遊戯は少し元気が無いように見える。
「何だ、寝不足かよ?」
「うん、ちょっと・・昨日ビデオ見たせいかヘンな夢見ちゃってさ」
遊戯の台詞を訊いて城之内は耳元で小声で言った。
「・・・アレか?」
「・・違うよ!」
城之内の言う『アレ』がなんだかわかった遊戯は思わず大きな声で否定する。
教室の中に居た何名かが遊戯の声に驚いてこちらを見た。
慌てて遊戯は自分の口を押さえる。
『アレ』とは城之内から借りているビデオのことだ。
健全な男子高校生が見たがるモノ、とだけ言っておこう。
「じゃ、なんだよ?」
「じいちゃんが見たがったからレンタルしてきたビデオ。もう返さなきゃなんないから見ちゃおうって言うから」
「ふうん?」
城之内が先を促す。
遊戯が言った。
「夢の中で」
「もう1人のボクがメーテルだったんだ」
一拍置いて城之内は思わず吹き出し、ついで爆笑した。
遊戯が昨日見たビデオとは「銀河鉄道999」と「さようなら銀河鉄道999」だったらしい。
メーテルの衣装を着た<遊戯>を想像したのだろう。
城之内はよほどツボに嵌ったらしく机を叩いて笑っている。
意外に似合っていたその黒い服を思い出して遊戯も笑った。
行かないで。
その言葉は飲み込んだまま。
END
半端にギャグですいません(^^ゞ
2002.11.08