■紅葉(闇表)■

■十二ヶ月を巡るお題■

紅葉(闇表)











 


 

 

 

 



「真っ赤で綺麗だね」

紅葉の林の中を二人で歩く。
降り積もった落ち葉を踏む、さくさくという軽い音。

キミとボクの二人分の足音。

ボクは一枚落ち葉を拾って言った。
「そういえば、これ城之内くんがボクらの頭に似てるって言ってたよ」
「城之内くんが?」
もう一人のボクが、ボクの手元を覗き込む。
「そういえば紅葉饅頭の話をしていたな」
「城之内くんらしいや」
すぐに食べ物の話に移行してしまうアタリがなんともらしい、と思って二人で笑った。
笑うボクらに落ち葉が降ってくる。
今日は少し風があるから、せっかくの紅葉だけどたくさん散ってしまっている。
勿体無いな、と思った。
こんなに綺麗なのに。
降ってくる赤も綺麗だけれど。

キミの上にも紅葉がはらはらと舞う。

紅葉の風景に溶けてしまいそう。
キミがまた何処かへ行ってしまいそう。

思わず伸ばした手を、捕らえられた。

「相棒を見失ったら、大変だからな」

キミが言った。

嗚呼、ボクらは同じような不安をまだ抱えているんだね。

「大丈夫だよ」

ボクは笑った。

大丈夫。
何処に居たって
必ずキミを
見つけるよ。


 

繋いだ指先は、温かかった。

 

 

END

 





2体設定、あの後帰ってきてくれたカンジで。

紅葉に紅葉頭が紛れてしまいそう、
とかいう発想は
遊戯王じゃなきゃ出来ないと思います(つかその発想どうよ?・笑)


 
■十二ヶ月を巡るお題■
宿花(閉鎖されました)



 

2006.10.28

 

 

 

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