■十二ヶ月を巡るお題■
こたつにみかん(闇表)
朝、学校へ向かう道の途中で遊戯は前方に親友を見つけた。
いつもぎりぎりで登校する城之内と遊戯がこんな所でかち合うなんて珍しい。
「おはよう、城之内くん」
遊戯が後ろから声をかけると、城之内は振り返って、に、と笑った。
「おっす!遊戯」
駆け寄って隣に並んで歩く。
「今日は早いね」
「ウチ帰らないでバイトから直だからな」
そんな話をしながら学校を目差す。
車が二人の横を通り過ぎて、風が巻き起こった。
「寒っ」
遊戯が思わずそう言うと城之内は笑った。
「オーバーだな、遊戯は。まだそんな寒くねぇって」
「寒いよー」
そう言い返しながら、遊戯は城之内の服装を見た。
すでにコートを着込んでいる遊戯とは違い、城之内は学生服のみである。
「寒がりだなぁ遊戯は」
城之内はそう言って笑った。
「今からそんな着膨れててどうするんだよ?この先もっと寒くなったらきっとまん丸で毛玉が歩いてるみたいになっちまうぜ」
クリボーみたいだな、からかう様に言われて遊戯はむぅ、と口を尖らせた。
自分が寒がりなわけではないと、弁明するように告げる。
「もう一人のボクの方が、ボクより寒がりだよ」
「へぇ」
城之内はこのネタに興味を惹かれたようだった。
「そういやエジプトって暑いもんな」
「夜は寒いみたいだけどね」
遊戯は城之内の言葉に付け足すように言った。
「でも着膨れた<遊戯>なんて想像つかないなぁ」
想像つかない、などと言いながら脳内では考えたのか、城之内は楽しそうだ。
でも城之内の中では多分、<遊戯>はデュエルの強い、カッコいい存在なのだろう。
「だけどコタツに入ったら出てこないよ」
「コタツムリか!」
コタツから出るのがいやでカタツムリのようになっている<遊戯>を思い浮かべたのか城之内は笑った。
「この間なんてみかんを食べたそうにしてるから、食べれば?って勧めたら大真面目な顔して」
「うんうん」
「『手を出すと寒いから、剥いてくれ』って、こうだよ」
「あっはっは!!」
声を少し低くして、<遊戯>のマネをしてそう言うと城之内は爆笑した。
たかだが『みかんを剥く』というただそれだけの行為が、寒いから嫌だとか言う<遊戯>がツボにハマった様だ。
散々笑って、目じりに浮かんだ涙を拭きながら城之内は言った。
「そんで、どうしたんだ?剥いてやったのか?」
「うん」
遊戯はコクンと頷いた。
「交代して剥いてあげて、口の中に入れて、で、また交代」
「すげえな!つか遊戯お前アイツ甘やかしすぎ!!」
城之内は辛抱たまらん、といった風にまた爆笑する。
甘やかしてる、だろうか。
遊戯は小首を傾げた。
普段は<遊戯>の方が遊戯を甘やかしていると思う。
だからたまにそんな風に甘えてくれるのが実は嬉しいのだ。
ようやく笑いの発作が治まった城之内が遊戯に顔を寄せるようにして聞いてきた。
「おれ、見てみてえ。今日バイトねえし、遊戯の家行ってもいいか?」
「いいよ」
遊戯はあっさりと了承した。
それからちょっと考える。
「でももう一人のボクはカッコつけだから、城之内くんの前じゃそんなトコ見せないかもよ?」
「えーなんだよそれ」
ブーイングする城之内に遊戯は小さな声で付け加える。
「ボクにはそういうところも見せてくれるんだけどね」
「うん?」
聞こえなかったらしい城之内が聞き返してくるのに、遊戯はなんでもない、と両手を振って誤魔化す。
うっかり惚気ちゃった。
遊戯は心の中でそう呟いて、悪戯っ子のように舌を出した。
こたつにみかん(闇表)
朝、学校へ向かう道の途中で遊戯は前方に親友を見つけた。
いつもぎりぎりで登校する城之内と遊戯がこんな所でかち合うなんて珍しい。
「おはよう、城之内くん」
遊戯が後ろから声をかけると、城之内は振り返って、に、と笑った。
「おっす!遊戯」
駆け寄って隣に並んで歩く。
「今日は早いね」
「ウチ帰らないでバイトから直だからな」
そんな話をしながら学校を目差す。
車が二人の横を通り過ぎて、風が巻き起こった。
「寒っ」
遊戯が思わずそう言うと城之内は笑った。
「オーバーだな、遊戯は。まだそんな寒くねぇって」
「寒いよー」
そう言い返しながら、遊戯は城之内の服装を見た。
すでにコートを着込んでいる遊戯とは違い、城之内は学生服のみである。
「寒がりだなぁ遊戯は」
城之内はそう言って笑った。
「今からそんな着膨れててどうするんだよ?この先もっと寒くなったらきっとまん丸で毛玉が歩いてるみたいになっちまうぜ」
クリボーみたいだな、からかう様に言われて遊戯はむぅ、と口を尖らせた。
自分が寒がりなわけではないと、弁明するように告げる。
「もう一人のボクの方が、ボクより寒がりだよ」
「へぇ」
城之内はこのネタに興味を惹かれたようだった。
「そういやエジプトって暑いもんな」
「夜は寒いみたいだけどね」
遊戯は城之内の言葉に付け足すように言った。
「でも着膨れた<遊戯>なんて想像つかないなぁ」
想像つかない、などと言いながら脳内では考えたのか、城之内は楽しそうだ。
でも城之内の中では多分、<遊戯>はデュエルの強い、カッコいい存在なのだろう。
「だけどコタツに入ったら出てこないよ」
「コタツムリか!」
コタツから出るのがいやでカタツムリのようになっている<遊戯>を思い浮かべたのか城之内は笑った。
「この間なんてみかんを食べたそうにしてるから、食べれば?って勧めたら大真面目な顔して」
「うんうん」
「『手を出すと寒いから、剥いてくれ』って、こうだよ」
「あっはっは!!」
声を少し低くして、<遊戯>のマネをしてそう言うと城之内は爆笑した。
たかだが『みかんを剥く』というただそれだけの行為が、寒いから嫌だとか言う<遊戯>がツボにハマった様だ。
散々笑って、目じりに浮かんだ涙を拭きながら城之内は言った。
「そんで、どうしたんだ?剥いてやったのか?」
「うん」
遊戯はコクンと頷いた。
「交代して剥いてあげて、口の中に入れて、で、また交代」
「すげえな!つか遊戯お前アイツ甘やかしすぎ!!」
城之内は辛抱たまらん、といった風にまた爆笑する。
甘やかしてる、だろうか。
遊戯は小首を傾げた。
普段は<遊戯>の方が遊戯を甘やかしていると思う。
だからたまにそんな風に甘えてくれるのが実は嬉しいのだ。
ようやく笑いの発作が治まった城之内が遊戯に顔を寄せるようにして聞いてきた。
「おれ、見てみてえ。今日バイトねえし、遊戯の家行ってもいいか?」
「いいよ」
遊戯はあっさりと了承した。
それからちょっと考える。
「でももう一人のボクはカッコつけだから、城之内くんの前じゃそんなトコ見せないかもよ?」
「えーなんだよそれ」
ブーイングする城之内に遊戯は小さな声で付け加える。
「ボクにはそういうところも見せてくれるんだけどね」
「うん?」
聞こえなかったらしい城之内が聞き返してくるのに、遊戯はなんでもない、と両手を振って誤魔化す。
うっかり惚気ちゃった。
遊戯は心の中でそう呟いて、悪戯っ子のように舌を出した。
END
遊戯ちゃんだけには普段見せないような顔を見せてくれたら萌え(^_^)
遊戯ちゃんも「自分だけ」ってわかっていていて
甘やかしていたらいい。
闇様全然出ていませんが
闇表ってことでヨロシク(^^ゞ
■十二ヶ月を巡るお題■
宿花(閉鎖されました)
2006.11.25