幸せな一週間(闇表)
闇表で海→表
「デュエルディスクって結構嵩張るよね。持っていかなくて平気かな?海馬くんが貸してくれるかな?」
『そうだな』
遊戯の問いに<遊戯>は気の無い返事を返した。
GW、遊戯は海馬の別荘へ招待されたのだそうだ。
準備をしながらはしゃいでいる。
武藤家では道楽に近い自営業とはいえ、じいちゃんが店をやっている都合上、家族で遠くへ旅行などということは皆無に等しかったらしい。
そのせいもあって、避暑地への誘いに浮かれている。
「おやつも持っていかないとね」
『海馬のウチで出るんじゃないのか』
「それとは別にポテチとかあった方がいいじゃない?」
バナナはおやつに入りますか。
ほとんど遠足気分だ。
『まあ、楽しんでこいよ相棒』
<遊戯>がそう言うと遊戯は大きな目をぱちくりさせた。
「え、キミ行かない気なの?!」
『え』
当然行くものと思っていたと言わんばかりの遊戯の態度に、<遊戯>は正直吃驚した。
遊戯が千年パズルを身に付けていない時、つまり<遊戯>の居ない時をわざわざ狙って、海馬が別荘の話をしてきたということはつまり、パズルは置いてこいと言われたのに違いないと思い込んでいたのだ。
『海馬はオレを置いてこいと言わなかったのか?』
「うん、言ったけど、」
『じゃあ』
「じゃあ行かないって言ったら一緒でいいって」
そう言ってにこりと笑う。
だって一人で行ったってつまんないじゃない
もう一人のボクが居なくちゃ寂しいじゃない
そう言って笑う。
ああ、相棒はこういう奴だった。
黙ってしまった<遊戯>をどう思ったのか、遊戯は実態の無いその顔を覗き込むようにして訊いてきた。
「・・・もしかして行きたくなかった・・?」
だったらゴメン、と続く声は小さくなる。
<遊戯>は笑った。
『いや、相棒と一緒なら何処だって行くぜ』
「ホント?よかった!」
遊戯は破顔した。
「別荘なんて行ったことないからさ、すごい楽しみだよー。皆も誘ってみたんだけど城之内くんはバイトだし、本田くんは子守兼家族旅行だって言うし、御伽くんはお店が忙しくて無理だって。でも獏良くんは一緒に来てくれるって!」
うきうきとリュックに荷物を詰めながら遊戯が言う。
海馬の苦虫を噛み潰した顔が見えるようだ。
思惑が外れて悔しいであろうライバルを思い浮かべながら、<遊戯>はホンの少し意地悪く笑った。
END
闇表で海→表
社長の誘いは失敗しました☆
獏良くんもリング持参でくるので
たいへん楽しいGWになりそうな予感(笑)
■十二ヶ月を巡るお題■
宿花(閉鎖されました)
2009.05.30