言葉を交わして(凌W)■


恋に堕ちた人




 

 



 

凌牙はオレのことが嫌いだ。
そんなことは解っている。
双子というモノは、片方が怪我したりすると、もう片方にも何か影響が出たりする物らしい。
本当かどうか知らないが、同じ卵子から命を分けてこの世に生れ出たのだから、何かオレ達には見えない繋がりがあるのだろう。
凌牙と璃緒は二卵生だから、その括りではないが、オレだって自分の兄弟を傷つけた奴なんか好きになる訳がない。

だから、凌牙がオレのことを見ると眉を吊り上げる気持ちは解る。
けれどオレは時間を作っては時々凌牙に会いに行く。

「やあ、久しぶりですね、凌牙」
にっこり笑ってそう告げると凌牙は案の定思いっきり嫌な顔をした。
この喋り方が大層気にくわないらしい。
「オレはお前が嫌いだ」
そんなこと改めて言われなくても知っている。
「その喋り方も声も嫌いだし、顔を見るだけでムカつく」
でも、と凌牙は言う。
「顔が見えないともっと腹が立つ!!」
何処で何してんのか気になって仕方がない。
だからもっと頻繁に顔出せ、と怒鳴られて思わず間抜けな声が出てしまった。
「は?」
何を言ってるんだコイツ。
「凌牙、お前オレの事嫌いなんだろ…?」
「嫌いに決まってんだろ」
思わず聞くと即答が返ってくる。
嫌いだけど、会いたいってこと、らしい。
其れっておかしくないか。
凌牙がオレのことが嫌いなのは解っていた、だから、顔も見たくないと言われるのだと思っていた。
「アンビバレンツってやつか?」
「はあ?何言ってんだてめえ」
いいから早く構えろ、と急かされてデュエルディスクをセットする。
内心の動揺は隠して、凌牙はせっかちだなあという態度は忘れない。
凌牙と会う時はまずデュエルだ。
その後、負けた方が勝った方の言うことを聞く約束になっている。
「オレはもうナンバーズ持ってねえんだからシャークドレイクとか使うなよなあ」
「五月蠅いんだよ。どうせ対策してあるんだろうが!」
「其れは当たり前でしょう」
「その喋り方止めろっつーてんだろ!」
猫被りの喋り方に戻すと凌牙がまた怒鳴った。
此れってまるでデートみたいじゃないか。

そう考えて馬鹿みたいだと自分で自分を嘲笑う。

 

嫌われていると解っているのに会いに来るのは別に嫌がらせの為じゃない。
会いたいからだ。




Wは自分のこの気持ちが恋であると、自覚していた。
凌牙は、どうなのだろう。






END

 

 


凌W
凌牙さんは無自覚
もしくは好きでも認めないかと

アークライト三兄弟が新OP/EDに出てきたので
浮かれておりますとも!

 

お題はこちらから
corona

13.04.23

 

 

 

 

 

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