あなたならあばたもえくぼ抱き付いた時の匂い全部受け止めてくれる腕ときに悪態をつく口せつなくなるような笑顔



 

 

 

・あなたならあばたもえくぼ(凌W)

 

「なんだよ」
「別に」
じっと見ていたら其れに気が付いて、喧嘩腰で口を尖らせる。
本当のコイツは口が悪い。
世間は猫を被ってる姿しか知らないだろうけど、そんなのホントのコイツじゃない。
口は悪いし性格も悪いし重度のファザコンで、認めないだろうけどブラコンでもあると思う。
こんな奴を何で好きになったんだろう。
自分でもよくそう思う。
それでもその「本当の姿」を知っているのが自分だけであると、そう思うだけで嬉しい。
不思議なことにいつの間にか好きになっていた。


「こういうのを痘痕も笑窪っつーんだな」


嫌いなところもひっくるめて好きなんだ。
悔しいことに。



***
凌W



14.03.30



好きなところを10こ
White lie



 

 

抱き付いた時の匂い

 

「兄サマ!」
後ろから抱きついたら兄サマは吃驚したようだ。
「なんだおい、どうした?」
「…何でもないです」
何でもないなら離せよ、とトーマス兄サマは乱暴に言う。
けれど、腰に回ったボクの手をぽんぽん叩くだけで無理矢理引き剥がしたりしない。
「甘えてえんならクリスのトコ行けよな」
「嫌です」
クリス兄サマも大好きだけど。
施設に居る間、弱虫なボクを守ってくれたのは、側に居てくれたのは、トーマス兄サマだから。
ボクを安心させてくれる匂い。
だから兄サマが辛い時はボクがボクが側に居ます。


ねえ、凌牙のことばかり考えないで。




***
VW

14.01.11



好きなところを10こ
white lie

 

 


 

 

 

全部受け止めてくれる腕

 

本当は、凌牙がこの手を掴まないって解っていた。
アイツは頑固だから。
自分で決めた事なら何があっても其れを貫くだろうから。
それでも、諦めたくなかった。
アイツをこの腕に取り返したかった。
「…馬鹿みてえ」
オレはこんなコト考えるような奴じゃなかった筈だ。
父さんのこと以外はどうでもいいと、誰に罵られようと関係ないと、そんな風に考えていたオレは何処へ行ってしまったのか。


凌牙、お前が、オレを変えた。


だからオレは、今度はオレがお前を変えたかったんだ。


***
凌W
ナッシュ戦後っつーか



13.11.09




好きなところを10こ
White lie

 

 

 

 


 

 

・ときに悪態をつく口

 


昔は兄サマ兄サマと慕ってくれていたというのに。
トーマスは小さな頃からヤンチャではあったが、その実、優しい子であった。
しかし、父が姿を変えて帰還して、再会したトーマスは、すっかりガラが悪くなってしまった。
反抗的で、乱暴な言葉を使う。
弟たちを施設に預けたのは間違いだった、と言うしかない。
今も入室しようとしたら枕を投げられた。
「何が気に入らないんだ」
問う言葉がきつくなるのも仕方が無い。
トーマスはしばらく唸っていたが、再度問うとようやく口を開いた。
「…カイトのこと、弟だって言ったっつーじゃねえか」
確かに、言った、が。

つまりこの実弟は拗ねているのだ。

そう気が付いた途端、つい笑ってしまった。
「何笑ってんだよ!」
弟が怒っているけれど、それすら可愛いな、などと思ってしまう。
なんだ、結局、変わってなど居なかったのだ。


***
XW

13.10.13



好きなところを10こ
white lie

 


 

せつなくなるような笑顔

 

兄サマはシャークのことばかり気にしている。
シャークの妹を傷つけたことは、兄サマだけが悪いんじゃない。
もう元気になったんだし、気にすることはないと思うのに。
むしろ傷ついたのはW兄サマの方だったと思うのに。
シャークの前では憎まれ口ばかり叩いているけれど、時々、凄く優しい顔で彼を見ている。
そんな顔、家族の前でだって見せないんじゃないかと思うほど、優しい笑顔。
凌牙はそういう時、兄サマの方を見ていない。



兄サマはシャークのことが好きなんだ。




その笑顔を見ているとボクの方が苦しくて堪らなくなる。



***
凌←WからのV→W





好きなところを10こ
white lie

 

 

13.08.17

 


 

 

 

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