・大人の階段、落ちる時
昔は少しやんちゃな所もあったが、可愛い弟だった。
優しく言い聞かせれば此方の言うことを聞いたし、もう少し強く怒れば謝りもした。
其れが今では何とも可愛らしくない。
外向きには紳士ぶって丁寧な言葉で喋るが、ウチの中では聞くに堪えない下品な口調で話す。
反抗的で態度が悪い。
一体どこで間違えてしまったのだろう。
育て方を間違えたとはまさにこのことか。
ため息をついたら、幼い姿の父は笑った。
「Wは可愛いところもあるよ」
そうだろうか。
自分が見えていないのに父にはそう見えることが何故か悔しかった。
***
XW
14.12.07
愛し君への恋心
恋したくなるお題
(配布)
・恋音を数える日々
友達なんて作ったことなかった。
物心ついたときには隣の家に行くにも車で20分、なんて辺鄙な屋敷に住んでいたから、近所の子と遊んだ記憶もない。
その代わり、兄弟とはずっと一緒だった。
兄と離れて、施設へ行ってからも、弟とはずっと一緒だった。
弟はどちらかと言うと可愛らしい顔をしていて、中身はともかく外見は女の子のようなので、良く苛められた。
其れを阻止するためには自分が強くならなきゃいけなかった。
弟を守らなきゃって思ってた。
そんな訳で施設でも友達なんて出来なかった。
正真正銘凌牙が初めてのお友達だ。
初めてなんでこれが本当に正解なのかまったくわからない。
デュエルしたり、一緒に飯食ったり、此れって普通の友達もやることだよな。
けど、その合間に、例えば凌牙のカードを引く指が綺麗でドキッとしたり、顔が思いの外近くにあって、頬っぺたが赤くなったり、そういうのってフツーの友達としてどうなんだろう。
アリなんだろうか。
真面目に質問したのに、アニキに可愛そうなコを見るような眼で見られた。
納得できねえ。
***
凌W
初恋もまだ系男子Wさん
14.07.27
愛し君への恋心
恋したくなるお題
(配布)