■名前で呼んで■
「お前のアニキ、クリストファーっつーのか」
どうやらXの本名はクリストファー・アークライト、というらしい。
聞いてみるとWは澄まして答えた。
「そうですよ」
「じゃあWってのも偽名なのか?」
「当たり前でしょう。数字の名前を付ける親なんてそう居ませんよ」
まあ確かに。
しかし一郎、二郎とかいうのと同じ類の名前なのかと思っていたのだ。
「んじゃ本名なんて言うんだよ」
「知りたいですか」
偉そうにWはふんぞり返る。
何故其処で威張るんだコイツ。
「知ったらあなたは私を愛するか殺すしかないんですよ」
何を言い出したこの馬鹿。
「ふざけんな!なんだそのどっかの漫画を混ぜたような訳のわからない設定は」
そんな漫画絶対あったぞ、何だったか忘れたけど!!
怒鳴るとWは口調を変えた。
「細かいことうるせえなあ。どうでもいいから襲われるのとゴーカンされるのどっちがいいかさっさと選べよ凌牙」
「同じじゃねえか!」
襲われるとゴーカンじゃ!!
名前聞くだけで何でゴーカンされなきゃならねえんだテメエ!
取っ組み合いの喧嘩になった二人を見ながら遊馬は言った。
「仲いいなあアイツら」
***
凌W
襲い受け(笑)
Wさんの本名早くプリーズ!
つかUにWさんの出番あるのかどうか…;;
いや出番が無くっても妄想と捏造するけどね!!
12.09.16
■優しい声を聞かせて■
夢の中で、誰かの優しい声が聞いた気がした。
身体を起こすと頭が酷く痛んだ。
思わず眉を寄せると目敏く気が付いた弟が心配そうに「兄サマ」と呼ぶ。
お前、目が覚めたのか。よかった。
3つ並んだベッド。
兄貴も居る。
そうだ、オレは凌牙に負けて…それから。
それから。
「おい、大会どうなったんだ」
ベッドから出ようとして思わず舌打ちする。
何でなんも着てねえんだ。
わざわざ脱がせて寝かせるとか、何考えてんだ。
こんな面倒な、手のかかること。
男だけだし別に部屋の中ならマッパでも構わないけど。
さっさと着替えたアニキがテレビを付けた。
映し出されるのは大会の決勝、スフィアフィールドが崩壊する映像。
「おい!」
「早く着替えろ。行くぞ」
「はい!」
慌てて弟と服を取りに走る。
会場までは遠いし、オレ達はもう紋章の力を使えない。
わざわざ脱がせて寝かせるなんて。
――――まるで時間稼ぎでも狙ってたみたいだ。
『今度は忘れない』
何時か聞いたあの声が確かに聞こえた気がした。
***
わざわざまっぱにしといたのって
最終的にフェイカーとは自分だけで決着付けるつもりで
子供たちは巻き込まないように
気がついてもすぐには来れないように
時間を稼ぐためだったのでは
本当はトロン様の底にはお父さんとしての部分も残っていたのでは
という妄想をしてみた。
息子たちの魂だけ大事に別に持っていて
その魂を見送るトロン様がすげえ優しい目をしていて
正直泣いた
兄弟の所に戻ってきて欲しかった
12.08.15
■忘れないでと繰り返し■
「恨むならオレを、オレだけを恨め」ってWは言ったんだ。
何時だったかアストラルが自分の居た証を残したい、とか言い出した事があった。
ようするに自分の持てる限りのデュエルの知識を全部オレに教えておきたいってことだったらしいけど、オレはアイツがいつか居なくなってしまうのかもしれないと思って少し不安になった。
最初はオレだけに見える五月蠅いデュエルの幽霊が鬱陶しくて仕方なかった筈なのに、いつの間にか、居て当たり前、居てくれなきゃ困る存在になってる。
だってコイツが居なくなったら寂しいもんな。
だから、全部覚えておこうと思った。
デュエルに関する事だけじゃなくて、お前が『記憶しておこう』なんて馬鹿みたいに真面目くさって言った事とか、テレビの前でエスパーロビンが始まるのをそわそわしながら待っていたこととか、――――『遊馬』ってオレの名を呼んで笑った事とか。
全部全部オレは覚えておく。
そんでアイツがもし何処かに行っちゃったとしても、お前の居場所は此処なんだって、オレが覚えてる限りお前はオレの相棒なんだからって、ずっと叫んで居てやる。
戻ってくるまで、ずっと。
「恨むならオレを、オレだけを恨め」ってWは言ったんだ。
父ちゃんのこととか、態とじゃないけどシャークの妹を怪我させちゃったこととか、アイツはアイツの想いを全部あのデュエルにぶつけて来た筈なんだ。
それなのに、デュエルしたお前が其れを忘れるなんて。
そんなの、そんなの駄目だ。
上手く言えないけど、そんなの絶対駄目なんだ。
其れを言葉で伝える事が出来ないなら、デュエルで。
オレには其れしか出来る事がないから。
***
遊アスで凌W
なんか予告で遊馬くんが「オレがお前の妹を?!」とか言ってて
トロンに記憶を弄られて凌牙さんの中では妹に怪我させたのは遊馬くんになっちゃってんのかしらって
其処変えられたら凌牙さんとWさんの接点なくなっちゃうじゃんよっって
12.06.24
■夢を見た■
庭に面したテラスで本を読んでいると小さな弟の声がした。
「わー、とってもきれいなお花!」
本を置いて立ち上がると、末の弟が花壇の前にしゃがみ込んでいる。
其処にある花を見ているらしい。
「おとうさまにみせてあげよう」
そう言って弟はその花を摘もうとした。
弟は本当に父が好きだ。
いつのまにやってきたのかその弟の手を上の弟がぺちと叩く。
「今摘んだら父さんが帰ってくる前に枯れちゃうだろ」
折ったら花が可哀相だ、という言い方をしない辺りが次男らしい。
少し乱暴で素直でないところもあるが、根は優しい子なのだ。
見ていることに気が付いたのだろう、二人が此方にやって来た。
末の弟が聞く。
「ねえクリス兄サマ、おとうさまはいつかえってくるのですか?」
「もうすぐだよ」
笑って答えると、上の弟が言った。
「兄さんは父さんの手伝いしなくて大丈夫なのかよ」
手伝い。
そうだ、自分は父の仕事の手伝いをしていた筈だ。
簡単な調べ物や記録など、父は自分に任せてくれていた。
何故自分は仕事をせずに、此処に、弟達と一緒に居るのだろう。
父の側に居ないのだろう。
「あ、ちょうちょ!」
「アミ持ってこようぜ」
新しい遊びに弟達はすぐ夢中になって蝶を追って其方に行ってしまった。
其れを見送るうちに胸に芽生えた疑問も泡のように消えてしまう。
クリスは再び本へ目を落とした。
その薄暗い部屋には3人の兄弟が眠っている。
彼らは此処で父の帰りを待っているのだ。
――――幸せな、夢を見ながら。
***
Wさんの退場にショックを隠せない
12.06.06
■名前■
「今日からお前の名は『W』だ」
そう告げるとすぐ下の弟は口を歪めてにやりと笑った。
弟はこんな笑い方をする子供だったろうか。
「数字で呼ばれるなんて囚人みたいだな」
囚人。
確かにそうだ。
我らは自ら復讐という名の枷を付けて闇の中を進む囚われ人となったのだ。
先が見えなくとも進むと決めた。
「じゃあ此れからはオレも『兄サマ』じゃなく『X』って呼ぶぜ」
弟が何を思ってそう言ったのか。
この暗闇の中ではそれすら見えない。
***
Xニイサマの本名発覚!!!
やっぱ数字なんて本名じゃなかったのねえええ
WさんとVちゃんの真名もはやくお願いします。
12.05.16