■天邪鬼とお姫様。(凌W)■
凌W
もう全部終わったら責任とってWさんは神代兄妹の所へ嫁に行けばいいんじゃないかなって思った。
アークライトさんちの父+兄弟と神代兄妹が一緒に暮らしてる設定
切っ掛けは些細なことだったと思う。
其れをWが更に煽るから、凌牙もカッとなってしまっただけだ。
「何をそんなにカリカリしているんですか、凌牙」
「その喋り方止めろって言ったろ」
世間では紳士的とか言われてるらしいが、凌牙はこの人を小馬鹿にしているとしか思えない喋り方が大嫌いだった。
止めろと何度も言っているのにすぐにその喋り方をする。
何でもすると言ったくせに、やたら逆らうのだ。
絶対服従なんかしてやるもんかという意思表示なのか、それとも駄目と言われると態とやりたくなってしまう性分なのか。
多分後者だろう。天邪鬼なのだ。
もう正体なんかとっくにばれてんだから白々しく猫被ってんじゃねえよ、と思う。
「ああ、成程」
睨む凌牙に、何を思ったかWはしたり顔でニヤリと嫌な笑い方をした。
「溜まってるんですね、凌牙」
「ああ?」
Wが何を言い出したのか分からずに機嫌悪く語尾を釣り上げる。
反対にWは機嫌のいいチェシャ猫のようににやにやと笑った。
「それなら仕方ない、生理現象ですからね」
顔が近い、と思った時は遅かった。
ちゅ、と唇が触れて離れる。
「相手して差上げてもいいんです…って―!!」
喋っている途中でぐーをお見舞いしてやった。
余裕の表情が崩れて、ぎゃあぎゃあ喚き出す。
「てめえいきなり殴るなよ!」
「お前が悪いんだろうが!!」
其処からはもう掴み合いの喧嘩になってしまった。
とは言え基本お坊ちゃまのWに凌牙が負ける筈も無い。
伊達に不良をやっていた訳ではないのだ。
ほどなくマウントポジションを取って、さあボッコボコにしてやろうか、と思ったところで第三者が乱入して来た。
「何やってるんです!凌牙!!」
飛んで来た璃緒が兄の頭をペシリと叩く。
どうやら買い物から帰って来たところらしい。荷物はその辺に転がっていた。
「デュエリストの癖に喧嘩なんて!」
デュエリストならばデュエルで決着を付けろと言うことらしい。
黙っていればもう一回くらい叩かれそうだ。
「コイツが悪いんだよ」
「暴力はいけませんよ」
璃緒がとりあえず自分の味方らしいと気が付いたWがまた凌牙の嫌がる口調で笑う。
この野郎。
「そうよ、Wの言うとおり、暴力はいけないわ」
璃緒がそう言ったので凌牙は握った拳を引っ込めた。
Wは益々にやにやする。
この野郎。
しかし璃緒が腕を組んで此方を睨んでいるので、凌牙は渋々Wの上からどいた。
「つかお前なんでソイツの味方するんだよ」
つい文句も出ようというものだ。
一番酷い目に合ったのお前だろ。
そう言うと璃緒はけろりと言った。
「あらだってWの方が弱いのに可哀相でしょ」
この言葉にはWもショックを受けたようだ。
「弱い…」
「あっ、デュエルじゃないですわよ。喧嘩の話です!デュエルも凌牙が勝ったけど」
「…璃緒、お前其れフォローになってないぞ」
むしろ傷口に塩塗り込んでる。
「とにかく私の前で喧嘩なんて許しませんから」
「ハイ」
Wが神妙に頷いたので、凌牙も其れに倣った。
「じゃあお茶にしましょう」
「んじゃVに茶を淹れさせる」
W曰く『アイツが一番淹れるの上手い』んだそうで、茶を淹れるのはVの担当なのだ。
そう言いながらWは璃緒が床に放り出した荷物を甲斐甲斐しく拾ってやっている。
天邪鬼もお姫様に逆らう気はないらしい。
END
凌W
凌W
Wさんの神代兄妹サンドが現実的なモノとなってきたので←
璃緒ちゃんの口調が迷子で放って置いた奴を仕上げてみました
お姫様最強
13.05.19
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