遊アス遊
シャークさんとVのデュエルの後くらい。
Wって言う奴は凄く嫌な奴だった。
委員長も鉄男もWのファンだったのに、ボロボロにされた。
凌牙はあんな奴とデュエルする気なのか。
復讐なんて止めろよ、凌牙。
デュエルはもっと楽しくやるもんだ。そうじゃなきゃ駄目だと思う。
『遊馬、キミはシャークを愛しているのだな』
「そう、あい…って愛?!!!」
考え事をしていたらアストラルがとんでもないことを言い出した。
確かに凌牙のことを考えていたけど、愛って何だよ愛って!
『この前テレビでやっていた。寝ても覚めてもあなたのことばかり考えている、と』
いやいやいや、待て待てちょっと待て。
アストラルが言ってるのは夕方やってる韓流ドラマだ。
こいつは大変なテレビっ子で、暇があるとテレビを付けろと騒ぐ。
テレビ大好きだ。
まあこの世界のことに未だに詳しくないアストラルにとってテレビは貴重な情報源なんだろう。
とは言えエスパーロビンの時みたいにテレビの中の事まで全部本当だと思われちゃこっちが困るんだっつの。
「そりゃ男と女の場合だろ!」
アストラルは少し考えて言った。
『キミとシャークの場合には当て嵌まらないのか』
「当て嵌まらないってば」
『…だがキミがシャークのことばかり考えているのは事実だ』
「そりゃ…そうかもしれないけど」
だって凌牙はまたナンバーズを手に入れてしまった。
Wたちもナンバーズを持っているみたいだし、カイトとデュエルした時みたいに、またシャークが目が覚めなくなっちまったら。
シャークが負ける筈ないって思うけど…。
と、此処でふと気がついた。
なんかアストラルの言い方ってば、僻んでるって言うか拗ねてるって言うか…オレが凌牙のことばっかり考えていて面白くないって言うか。
そう、まるでヤキモチでも焼いてるみたいだ。
「…お前、オトコだよな?」
一応聞いてみた。
アストラルは少し考えて答えた。
『わからない』
おいおい、自分のことだろ!
『キミの身体と私の体の作りは大分違うようだ。この世界で言う男という生物と私が同じものなのかわからない』
ああ、そういやコイツ異世界人だっけ。その上記憶喪失。
しかし言っていることはやっぱりよくわからない、というかさっぱりわからない。
だけどわからないと勘付かれるのは悔しい。
遊馬は言った。
「要するにアレだろ!お前はお前ってことだろ!」
言ってから気がついた。
そうだ、アストラルはアストラル。それでいいじゃないか。
オトコだとかオンナだとか関係なくオレ達は出会って、一緒にデュエルしてきたんだから。
そう言ったらアストラルはほんの少し嬉しそうな顔をした、気がした。
まったく凌牙やデュエルのことより、お前のことを考えてる時間の方がよっほど長いっつの。
そんなことを言ったら『そうか遊馬キミは私を愛しているのだな』とか言いそうなので止めておいた。
END