触れたくなる後ろ姿



 

・触れたくなる後ろ姿

 

『遊馬、店先にチョコが増えた気がするのだが』
ショッピングモールを歩いていたらアストラルがそんなことを言いだした。
「ああ、バレンタインだからじゃね?」
『バレンタイン?』
「んーと、チョコ貰える日?」
バレンタインて人が云々言う蘊蓄を、遊馬は勿論知らない。
『チョコはデュエル飯よりも美味いのか?』
「んーオレはデュエル飯の方が好きかな」
「そうか」
そう言いながらもウィンドウを覗き込むアストラルはチョコに興味深々だ。
細いなあ、とその背中を見て思う。
そういえばアストラルはいつも遊馬のやや後方に浮かんでいるので、こうやって背中を眺める機会はあまりなかった。


細くて、滑らかな背中。

この背中に守られてきたのだ。

思わず手を伸ばしていた。
『どうした、遊馬』
「…なんでもねえ」
触れられなかった手をきゅと握りしめる。


触れて、そして。


何をする、気だったんだろう。




***
遊アス

 

14.02.08


好きなところを10こ
White lie

 


 

 

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