■熱い(牛遊)■
牛遊
熱を出した遊星たんと牛尾さん。 コレの続きです。
ふと、目が覚めた。
額に貼られた冷却ジェルシートはすでに生ぬるいだけで、感触が気持ち悪い。 剥がしてしまうとした腕が何かに触れる。 びくり、と竦んだ遊星に牛尾の声が降ってきた。 「・・替えてやるだけだ」 竦んだ遊星に気が付いたのだろう。 ぶっきらぼうだが、声が何処か優しい。 そんな声では調子が狂う。 「・・居たのか」 「居ちゃ悪いか」 遊星の言葉に喧嘩を買うように牛尾は答えた。 喧嘩腰なその方が、らしい。 居ちゃ悪いなんて言っていない。 あんたの家だろう。 さらに言ってやろうかと思ったが、熱はまだ下がらないらしく、口を開くのが億劫だ。 黙ってしまった遊星をどうとったのか、牛尾も黙ってもう用を成さない冷却ジェルシートを額から剥がした。 熱を測るようにその手が触れる。 「・・・あんたの手」 遊星は言った。 「熱くて気持ちが悪い」 「本当に口の減らねぇ餓鬼だな!」 牛尾は新しい冷却ジェルシートをべしりと乱暴に額に貼り付けた。 「・・冷たい」 「うるせえよ。サッサと寝ろ」 言って牛尾は向こうへ行ってしまった。 気配が遠ざかる。 熱の有る額にあの手は熱くて嫌なはずなのに、冷たいシートでは何か足りない気がするのは何故か。 翌朝とりあえず熱が下がり、帰ると言うと、牛尾は特に引き止めなかった。 お前のDホイールは外だ、とキーを渡してくる。 本当に、権力に弱い男だ。 このまま遊星を捕まえれば、それで終わるのに。 「世話になった」 「別に何もしてねーよ」 玄関先で短く言うと面白くも無さそうな返事が返ってくる。 「いいか、忘れるなよ」 そのまま踵を返そうとした遊星に牛尾が言った。 「絶対にオレがてめえをサテライトに送り返してやるからな」 「だから他のやつに捕まったりすんじゃねーぞ」 その台詞に、心配しているのか、と勘違いしそうになる。 「遊星、だ。ウシオサン」 わざと『さん』の部分を強調してやると、牛尾は嫌そうに顔を顰めた。 「やっぱ憎たらしい餓鬼だよてめーは」 糞餓鬼め、と吐き捨てるような言葉を背に遊星はその部屋の扉を閉めた。 END そんなわけでたいして進展のない牛遊でした(笑) 牛尾さんに「遊星」って呼ばせることが目的だったはずなのに・・! とりあえず「クズ」から「糞餓鬼」になったということで(笑) それって進展してないって気も・・(^^ゞ まあこれから意外に面倒見の良い牛尾さんがご飯くれたりなんだりして にゃんこが懐いていくわけです。
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