コレの闇表バージョン。
小姑闇様シリーズとは
遊戯ちゃんを溺愛してる闇様が
大事な相棒を守るため邪な心を持って近づいてくる輩を撃退する話(ちょっとウソ・笑)です。
遊戯ちゃん逆ハーレム状態。でも無自覚。
「ねえ」
屋上の床にペッタリ座ってジャムパンを頬張りながら遊戯が言った。
「さっき、何怒ってたの?」
もぐもぐと口を動かしながら隣を見る。
傍から見たらただの独り言。
『別に』
「そう?」
<遊戯>の答えに今度はあまり納得していない様子だ。
「キミが怒ってる感じがしたから目が覚めたのに」
その前に目が覚めて欲しい、と<遊戯>は思う。
自分の身に危険が迫っていたらもう少し本能とかいうもので気がついたりするものじゃないだろうか。
危険。
そんなことこれっぽっちも考えていないんだろう。
目が覚めたのは“<遊戯>が怒っていたから”
怒っていて、どうしたんだろうと心配になったから。
自分のためじゃない。
「ねえってば」
こういうときなかなか遊戯は引き下がらない。
仕方なく<遊戯>は言った。
言うつもりはなかったのが。
『城之内くんがナニかしようとしたみたいだったから』
「・・・ナニかって?」
ほらな。
<遊戯>は心の内でため息をついた。
絶対に遊戯にはわからない。
<遊戯>だって実際見ていたわけではないがだいたいのところはわかる。
でも。
遊戯にはわからないのだ。
もう少し自分が他人の目にどう映っているか、わかってくれたらいいのに。
<遊戯>は思う。
皆がどんな目で遊戯を見ているか。
もう少し考えてくれたらこんな苦労もしないのに。
だけど無理。
遊戯は自分のことはどうでもいいから。
自分のことより人のことばかり考えてる。
それが遊戯の長所で、
短所。
そんな遊戯が自分が他人にどれだけ好かれているかなんて気がつくはずがない。
でも。
「あ!」
『なんだ?!』
急に大きな声を出されて<遊戯>は驚いて遊戯を見た。
「もしかして顔になんか描かれた?!」
『・・・はぁ?』
話の飛躍について行けずについ間抜けな声を出してしまう。
「こないだ本田くんが城之内くんが居眠りしてる時に顔に落書したんだ」
『はぁ』
どうやら城之内がやられた悪戯を次は遊戯の番、とばかりにやられたんじゃないかと思っているらしい。
「もしかして描かれてる?」
『は〜』
<遊戯>は今度は盛大にため息をついた。
そんな心配より自分のテイソウの危機のことを案じて欲しいんだが。
「ねえ、なんかついてない?」
『・・・・ついてるぜ』
本気で心配しているらしい遊戯を見て、<遊戯>の中のイタズラ心が動き出した。
「え、どこ?」
慌てて顔を触る遊戯に顔を近づけて、ぺろり、と唇を舐める。
もちろん感触は無いのだけれど。
『ここ・・・ジャムがついてた』
そう言ってにっ、と笑ってやる。
「もう!!またそうやってボクのことからかう!」
瞬間何をされたかわからなかった遊戯は一拍置いて真っ赤になって言った。
その反応にとりあえず<遊戯>は満足する。
丁度そこで予鈴がなってふたりのじゃれあいは終了となった。
遊戯は残りのパンを口に押し込んでゴミをかき集める。
それから慌しく屋上を後にした。
城之内の願いは聞き届けられたようだ。
END
愚者は許しも忘れもしない
愚直な人は許すし忘れる
賢者は許すが忘れない、
だそうです(笑)
2001.10.19